七章 『氷の学び舎』
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つも、小太郎は冷静に初撃を分析していた。昔の彼なら、猪突猛進に攻撃に転じていただろう。魔法世界での修行や、剣闘士として曲者揃いと戦ってきたことが活きているようだ。
後退する小太郎の腕が、剛健な筋肉によって隆起を始めた。更に爪は先鋭化し、小太郎の両腕は獣の様相を呈する。小太郎は狗族と人間のハーフだ。そのため小太郎は、自身の身体を狗族へと変える『獣化』をすることが出来るのである。
腕の獣化を完了した小太郎へ、もう一体のフロストが襲い掛かる。それは小太郎が攻撃を避けた先を予測したかの様な正確さだ。さらに先程のフロストが、氷柱状の爪を小太郎へ飛ばす。
「連携プレーできるんか!」
次の瞬間、小太郎の姿が消失した。
「けど、当たらんかったら意味ないで」
爪を飛ばしたフロストの眼前。そこに小太郎が現れた。なんてことはない。小太郎は飛来する氷柱を躱しながら瞬動でフロストへ近づいただけである。
フロストが動くよりも、小太郎のほうが速かった。獣化によって強化された小太郎の腕に狗神が集中する。その腕を、フロストへ向けて突き上げた。フロストは辛うじて腕を出して小太郎の拳を受けるが、狗族の屈強な身体と腕に集まった狗神がフロストの体を突き抜けた。その衝撃はフロストを宙へ運ぶ。
「ッー!」
小太郎の拳は絶対零度に近いフロストの体に触れたのだ。凍り付いていてもおかしくはない。しかし小太郎の拳は、獣化と狗神のためか、凍傷にもなっていないようだ。
「後ろや!」
そう言いながら小太郎は、振り返りながら腕を振りかぶる。
振り返った小太郎は、氷の柱が迫ってきているのを見た。その氷の柱は、フロストが自身の冷気を地面へ伝えたことで生み出したものだ。凍てつく冷気とともに、氷の柱が地面を這うように迫る。
一方、小太郎の腕にはまたも狗神が集まっていた。そして小太郎は、それを地面へ叩きつけた。指向性を持った衝撃が地面を割り、放出された狗神がそれを巻き込む。さながら、地面を砕きながら疾走していく黒い狗だ。
地面を走る氷柱と黒狗が、勢いをそのままに激突した。
魔性の氷は黒狗の爪と牙に引き裂かれ、粉々に砕け散る。さらに狗神は止まることなく走り、獲物に襲い掛かる。無残にも、フロストの四肢は引き裂かれた。
の様子を見届けることなく、小太郎は咄嗟に上を見た。そこには先程自分が打ち上げたフロストがいた。空中で態勢を立て直したようだが、何やら様子が変わっていた。氷で形成された身体、さらに言えばその爪を中心から一段と冷気が溢れ出していた。
それが何が起きる前触れなのか、小太郎はその答えを持ち合わせてはいない。ただ分かっていたのは、今すぐこの場を離れなければならないという事だ。
小太郎が回避を始めたと同時に、フロストは急降
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