第2話 =衝撃の事実=
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冷めたピッツァなんて……と項垂れながら意味の分からないうめき声を無視し会話を進める。
「そうか。これってオンラインゲームだもんな……こんなすごいバグに気付かないとは思えないし、気づいたとしたらもうログアウトさせてるか何か案内来るよね」
「む、言われてみりゃ確かにな。SAOの開発運営元の《アーガス》といやぁ、ユーザー重視な姿勢で名前を売ってきたゲーム会社だろ。その信用があっから、初めてリリースするネットゲームでもあんな争奪戦になったんだ。なのに、初日にこんなでけぇポカやっちゃ意味ねぇぜ。」
ピッツァから復活し、妙に真剣な顔になったクラインがごしっと顎をこすった。バンダナに隠れた切れ長の目を鋭く光らせながら口を開いた。
「このSAOはVRMMOジャンルの先駆けでもあるから、問題起こしたらジャンルそのものが規制されかねない」
「……でも、何にも対応がないってなると、さ……」
俺とキリト、クラインの三人は互いの顔を見合わせ、手詰まりだと感じさせるように息を吐いた。
ゲームの中だというのに現実と同じ肌寒い感覚がアバターを刺す。どうやら現実の季節と準拠しているらしく、気温もそれに合わせて変わっているのだという。仮想世界の冷たい空気を深く吸い込み、また吐き出す。ゲームの中とは思えない空には天井のようなものがあり、夕日に照らされ薄紫色にかすんでいる。そのごつごつした天井を目で追うと、ずっと彼方に巨大な塔が聳え立っている。
「何もないままもう5時半、か。部活は諦めたほうが……ねぇ、キリトアレ何」
「ん?……あぁ、あれは……」
と、キリトが質問に答えようとしたとき、突然リンゴーン、リンゴーンと鐘の音が大ボリュームで響き、俺たちは飛び上がり同時に叫んだ。
「な、なんだぁ!?」
「ちょっ、何!?」
「……これは……転移!?」
俺たちの体を鮮やかなブルーの光の柱が包み、青い膜の向こうで、今までいた草原の風景がみるみる薄れていく。困惑している間にも輝きはどんどん強くなり、身体を包む光が一際強く脈打ち、俺の視界を奪っていった。
青い輝きが薄れると同時に、風景が再び戻るも、そこはもう夕暮れの草原ではなく、広大な石畳の広がる瀟洒な注背風の街並みが広がっていた。
「…ここは?」
あたりを見渡しながら先ほどとはまるっきり違う景色を目の前にして、そう呟いていた。
「始まりの街……みたいだな……」
「ひゃー、すっげぇ人だぜ……」
そういうクラインが言うように広場と思えるその場所は人で埋め尽くされていた。色とりどりの装備や髪色、眉目秀麗な男女の群れ。これが全員SAOプレイヤーだとするととんでもない量だ。
「おそらく、俺たちと同じようにログインしていた
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