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カンピオーネ!5人”の”神殺し
ナイアーラトテップとの戦い U
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権能の中でも、最も厄介で重要な権能であると言える。

 名前を付けるとするならば、【千の顕現(Manifestation of thousand)】が適当だろうか?

 クトゥルフがシェアードワールドの作品だというのは、既に説明したとおりである。その中の一つに、暗黒小説風の短編があるのを知っているだろうか?

 これは、『ナイアーラトテップは、千もの異なる顕現を持ち、そのどれもが同時に存在可能である。その中には人間として一般社会に紛れて生活しているものも多い。そして、ある時、この顕現の一人が殺されてしまった。その謎を解くために、他の顕現が事件の真相を探る』という小説なのだが、この作品を元にした権能である。

 この権能の最大の特徴は、『千の魂を所持する』という点である。持ち主が傷を負った時、自動でその損失を補填してくれるという、非常に特殊な権能なのである。

 例えば、草薙護堂の魂の総量を百としよう。

 この場合、この権能は自動的に『草薙護堂千人分の魂』をストックする。つまり、総量百の魂を、千個用意するわけだ。

 先ほど護堂は、両腕を切り落とされた。この場合の損失分を、仮に五十とすると、その損失を埋める為に、一個の魂の総量百から、損失分の五十を使用して、肉体を再生させる。因みに、今のように心臓を一撃で潰されたりして、即死だと判断された場合、問答無用で百の魂が使用される。よって、この権能を攻略したいのなら、チマチマと傷を与えていくのではなく、一撃必殺を千回叩き込むのが一番の近道である。

 この権能は、残りの呪力などに関係なく、魂のストックが残っている限り、自動的に体が修復される権能なのだ。だからこそ、呪力など使用したこともない草薙護堂でも扱えるのである。

 ここまで聞くと、非常に強力な権能に思えるだろう。そもそも、この権能の元々の持ち主は、ナイアーラトテップである。一体誰が、まつろわぬ神の中でも最上級の力を持つこの邪神を千回も殺せるというのか?クトゥルフ神話では、ナイアーラトテップの天敵とされるクトゥグアでさえ、『ナイアーラトテップを千回殺す』というのは実を言うとかなり厳しい条件なのだ。それを思えば、”神墜としの魔道書”がこの権能を奪ったのは、運命だったのかも知れない。今なら、彼女は一回殺されるだけで消滅する存在なのだから。正に、千載一遇のチャンス、というわけだ。

 だが、この権能にも弱点がある。

 それは、『痛みを無くす訳ではない』という部分だ。

 この権能は、あくまで修復する権能である(実を言えば、もう一つの使い道があるのだが、それは今関係ないので省略する)。それまでに受けた傷を治すだけで、精神的なダメージをなくしてくれる権能ではない。

 人は、自分の知覚限界を超えた痛みやストレスに晒さ
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