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遊戯王GX ~Unknown・Our Heresy~
第8話 規則の鬼と不良少女
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彼のライフは0になった。

力なく彼はその場に膝から崩れ落ちていった。

その表情は圧倒的な力に葬られた恐怖と、恐怖から解放された事に対する安堵の色が窺えた。

でも、僕にはまだ攻撃するモンスターが残っている。

「最後のワイトキングでダイレクトアタック!!」

「・・・・え?」

俺の言葉に彼は耳を疑ったような表情を浮かべてこちらを見た。

その素っ頓狂な表情はこれから絶望に染められる。

「死者の慟哭!!」

集いし亡者たちの最後の慟哭がフィールドに轟く。

怨嗟と慟哭の衝撃が崩落寸前の彼の身体に襲い掛かった。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

衝撃に吹き飛ばされ、彼はその場から数メートル後ろへ転がって行った。

ライフは既に0.

もう削る必要はなかった。

でも、僕はそれじゃ気が済まない。

本当なら、僕を雑魚と呼んだ奴も葬ってあげるのだが、その必要は無くなったようだ。

先程のワイトキング3体の攻撃を見ていた生徒たちは、恐怖しその場から動く事が出来ず、震えが全身を襲ってしゃがみ込んだりしていた。

これ以上の追撃は必要ない。

「次、やる?」

観戦していた生徒たちから視線を外し、吹き飛んだブルー生徒の片方に視線を向けた。

しかし、彼は既に戦意喪失しており、その場に座り込んで硬直していた。

それも見て、“俺”はやる気をなくした。

硬直している奴の制服から奪ったカードを取り出し、周り同様に怯えているレッド生徒にそのカードを投げ返した。

突然の事に彼は反応が遅れたが、少し怯えを含んだ笑みを浮かべ、ぎこちない口調でありがとうと告げ、早々と購買から逃げて行った。

取り返してやったのに、失礼な奴。

まぁ、そういう態度には慣れたけどな。

そんな事を考えながら俺は面倒臭そうに溜息を吐き、頭を掻いた。

デュエルを終えた俺を心配そうな面持ちで見つめるアヤメたちの方へと歩いて行った。

「悪い、食欲が失せた。食事はまた今度な」

「え!?」

アヤメの前に立つと、俺はそう告げた。

さっきの事で、すっかり食欲を無くしてしまった。

俺の突然の言葉にアヤメは驚きの声を上げた。

しかし、先程の事を見ていたアヤメは直ぐに分かってくれた。

「分かりました。では、明日、明日一緒に食事をしませんか?」

必死の形相でアヤメはそう言った。

俺は出口へと向かって歩きながら、おうと承諾の言葉を返した。

後ろでアヤメが喜んでいる声が聞こえる。

少しは1人で出来たと、喜んでいた。

そんなアヤメの嬉々とした声を聞きながら、俺は微笑みを浮かべ購買を後にした。





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