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遊戯王GX ~Unknown・Our Heresy~
第5話 月一テスト 女帝からの挑戦
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恐怖、迫害、苦痛、それらの感情が彼女の瞳に浮かび上がる。

彼女が今まで受けてきた事だと思うと、俺は彼女を憐れむような感情を抱いた。

しかし、そんな感情を抱く半面、俺はそんな彼女に魅了されていた。

そう思うと、未だに睨みつけてくる彼女の表情がなんだか可愛く見えてしまい、俺は失笑した。

「フフッ」

突然の俺の笑いに彼女は怪訝な表情を浮かべ、さらに睨みを鋭くさせた。

「悪い、気を悪くしないでくれ。ちょっと思い出し笑いをね」

そう言って俺は殺姫に笑って見せた。

そんな悪ぶれていない俺の態度に、殺姫の眼差しがさらに鋭くなる。

傍から見れば彼女の表情は鬼神なのだろうが、俺の目にはそんな彼女さへ幼子に見えてしまった。

「もう一度言うけど、自分が言っている意味分かっている? 私みたいな厄介者を内に宿すって事は、私の凶気をその身に宿すってことだよ?」

その覚悟があるのかと言いたげな眼差しで、殺姫は俺を睨みつけた。

「今さらだよ。女子寮で見ただろ? 俺の“凶気”」

そう言って俺は殺気を殺姫に向けて放った。

常人ならこの殺気に身震いを起こすだろう。

しかし、そこは殺姫だ。

その殺気に口元を歪め笑みを浮かべている。

「それもそうだね。あの時の君の殺気、とても心地良かったからね。君になら、この身を任せる事が出来そうだよ」

そう言って殺姫の眼差しが鋭いものから優しいものに変わった。

起こしていた身体をベッドに沈め、瞼をゆっくりと閉じる。

その姿勢はまるで自分の存在が消える事が決定しているかのようだった。

ナージャもそんな殺姫を悲しそうな表情で見ていた。

この2人は先走り過ぎている。

「まぁ、お前がアヤメの身体を奪おうとする事は普通に考えてありえないから、この案は保留ということだね」

「え?」

《え?》

不意に言った俺の言葉に、2人は素っ頓狂な声を上げた。

「だって、殺姫がアヤメの身体を奪おうとしたわけじゃないんだから、殺姫の存在を移し替える必要はないだろ?」

「それは、そうだけど・・・・」

「それに、俺は信じてるからな」

「え?」

俺の零した言葉に殺姫は目を見開いた。

「俺はお前がアヤメの身体を奪わないと信じているからな」

そう言って俺は微笑んだ。

そんな俺の表情を見て殺姫は見開いていた目をさらに大きく開かせた。

その表情はまるで絶望の淵に立たされた状況で、自分を救うために天より舞い降りた天使を見たような、希望を得た人間のような表情だった。

「それに、俺はお前が気にいっているんだ。もしお前がアヤメの身体を奪おうとしても、俺はお前の事を喜んで受け入れるつもりだ」

その言
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