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遊戯王GX ~Unknown・Our Heresy~
第5話 月一テスト 女帝からの挑戦
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的適応も慢性的な場合は反作用や後遺症を伴い、複雑な症状を呈することがある。

解離性障害は本人にとって堪えられない状況を、離人症のようにそれは自分のことではないと感じたり、あるいは解離性健忘などのようにその時期の感情や記憶を切り離して、それを思い出せなくすることで心のダメージを回避しようとすることから引き起こされる障害である。

が、解離性同一性障害は、その中でもっとも重く、切り離した感情や記憶が成長して、別の人格となって表に現れるものである。

昨夜、雪鷹がパソコンでその事を調べていたのを偶然見てしまい、俺も調べているうちに覚えてしまった知識だ。

恐らく、アヤメは転生前の世界で肉体的にも精神的にも大きなダメージを受け、この障害になったのだろう。

通常では、主人格は切り離した別人格の存在は知り得ない。

だが、アヤメは殺姫の存在を知っていた。

それほど殺姫の存在が表立っていたということだろうか。

「アヤメ、殺姫が怖いか?」

そんなことを考えていると、雪鷹がアヤメに訊ねた。

俺は雪鷹の意図が分からず疑問符を浮かべた。

「・・・・はい、怖いです。いつか殺姫に体乗っ取られるんじゃないかと思ったら、怖くて・・・・」

アヤメの体が小刻みに震え、眼元には薄らと涙が溜まっていた。

理子はアヤメの心情を察し、表情を歪める。

そんな中、雪鷹が口を開いた。

「大丈夫。殺姫はお前の体を奪いはしない」

「え?」

雪鷹の言葉にアヤメは涙声で素っ頓狂な反応をした。

雪鷹は微笑みながら言葉を続けた。

「アイツとのデュエルでわかった事だが、奴に殺意や凶気は確かにあった。しかし、奴の殺意は常に相手だった俺に向いていた。気休めにしかならないかもしれないが、奴はお前を?み込もうとしてるのではなく、お前を守ろうとしてるんじゃないのか?」

「え?」

雪鷹の言ってる意味が理解できず、アヤメと理子が首を傾げる。

俺は雪鷹のその言葉の意味を理解した。

「俺が独自に調べた結果だが、そういう人格の大抵が精神的に弱い主人格を守るために、攻撃的な言動を執るそうなんだ。まぁ、殺姫みたいな性格は稀にみるケースだけどな」

なるほど、生前で心に傷を負った彼女が、この世界でも同じ目に遭わせないために殺姫は殺気や凶気を振りまいてアヤメを守ってるのか。

不器用な人なりの思いやりということか。

「だから、殺姫の事を嫌わないでやってほしい。好きになってくれとは言わない。ただ、彼女を君の中に居させてほしい。もし、奴が君の体を乗っ取ろうとした時、その時は・・・・・・」

そこで区切る雪鷹。

そして瞑った目をゆっくりと開いた。

それと同時に森の中を一陣の風が駆け抜けていった。
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