暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第35話 白銀と漆黒W
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考えが浅くて、あんな危険な場所に向かったって言う責任はあるんだから」
 
 サチは、キリトの裾を握り締める。

「自分を、追い詰めないで。私達の事、想ってくれてるのなら、お願い……」

 その体は震えていた。あの時のように……。

「リュウキ君も教えてくれた……よね。生き抜くことが弔いになるって……。それは、キリトにも言える事だよね……?」

 サチは、至近距離でキリトの目を見つめた。

「そう……だ」

 その時、後ろの木陰から誰かが出てきた。

「……ッ!」

 キリトはその姿を見て、驚く。それは……今は亡きギルドのリーダー。《月夜の黒猫団》リーダー ケイタがいたのだ。
 
 キリトに呪われた言葉をはき捨てた彼が。

「メンバーが………、あいつらが 死んだのは、お前のせいじゃない……」

 搾り出すようなかすれた声でそう言う。

「すまなかった……。あと……。あの時、言えなかったが……。」

 ケイタは、涙を流す。失われた者達の事しか、考えていられなかった。でも、いたんだ。

「サチを……助けてくれてありがとう……」

 そこから先、キリトは何を感じていたのか……?はっきりとはわからない。だけど、キリトは救われた。リュウキは、そう強く思っていた。
 明らかに、さっきまでの表情じゃないから。

「………」

 リュウキは、その場から立ち去ろうとする。部外者、と言えばそうだから。

「リュウキ君」

 サチは呼び止めようとするが、首を振った。

「ありがと、な……」

 リュウキはそう呟く。想うのはたった1つ。『キリトを助けてくれて、ありがとう』
 
 リュウキは自身に今だ渦巻いていた憎しみが、殺意が、納まってゆく。サチの心配する心や優しさに救われた。……心が軽くなった。



 そして、リュウキは手を上げながら振り向かずそのまま離れていった。キリトは、小刻みに体が震えてはいるが。きっと、オレと同じように軽くなった。


――……心が……軽くなった。そう思いたい。


 こうして、1つの戦いが、物語が幕を下ろしたのだった。



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