暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
災厄の厄災
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を優しく撫でる。

「ごめん……、ごめんね。カグラねーちゃん」

嗚咽を洩らすカグラをちっこい身体で抱きながら、レンは次いでギャラリーのほうに視線を向ける。

「そっちは大丈夫だった?ルーねーちゃん」

完璧に油断していたらしいケットシーの領主は、突然のフリに困惑しながらも答える。

「あっ、うん。助けてくれてありがと、ホウ君」

大丈夫そうな返事に、レンはひとまず一安心する。これで領主に何かあっては、ここまでやった努力が水の泡だ。そんな不幸、是が非でも辞退したい。

微笑んでくる領主に、精一杯の笑みで応える。

まだ脳の芯には軽い鈍痛が残っているが、それでどうということが起こるほどではない。

ふぅ、と息をゆるゆると吐き出すと、キリトとリーファが集団から抜け出して脇に来るのが気配でわかった。キリトの肩には、こちらを心配そうに見つめる小妖精の姿も確認できる。

「やぁ、キリトにーちゃん、リーファねーちゃん。巻き込んじゃってごめんね」

自分でも力がない言葉と自覚しつつも、レンは力なく言った。

それにリーファは首を振りながら、ついでに嗚咽を洩らすカグラから貰った涙も添えながら言う。

「ううん。レン君がいなかったら、シルフもケットシーも救えなかったと思う。ありがとう………レン君」

そんな礼の言葉を聞きながら、レンはようやく力の戻ってきた足でよっこらせと立ち上がった。ぎしり、と全身が強張るが、何とか直立できた。軽い目眩が襲うが、踏ん張る。

途端、わっという歓声とともにレンはもみくちゃにされた。

押し寄せたギャラリーがレンの小柄な身体をあっという間に覆い隠して、その健闘を口々に称える。

呆然としているカグラとキリト、リーファに領主二人の目の前に、群衆の中からにょっきりとレンの手が突き出された。

その手は絶対にこう物語っている。

へるぷみー、と。

しかし、一同は心の中で思った。

いやそりゃ無理だ、と。










歓声が打ち寄せた波のようにフェードアウトして完全に消えたのは、なんとそれから十分も経った頃のことだった。

まぁなにしろ、あれほど絶望的な状況だったのだ。誰もが終わったと思ったに違いない。

しかしそこから一瞬にして、状況が覆ったのだ。その感動と喜びは、なかなか収まるわけがない。

しかし、だからといって────

「これはあんまりじゃないかなぁっ!!?」

レンは叫んだ。そりゃもう全力で。

レンの体はあちこち汚れていて、地べたに寝っ転がっていた。いや、押し倒されたと言うほうが正しいかもしれない。

なにせ寝転がっているのは、レン本人の意思ではないのだから。

鮮やかな緋色だったコートは、損耗
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