第32話 本当の強さとは諦めの悪い事
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だよ! それでも勝てないなんて……どうすれば良いの!」
フェイトの表情に諦めの色が浮かび始めていた。大切な友達を失い、仲間達が次々と倒れていく。その光景に心が打ち砕かれてしまったのだ。
「フェイト、此処に来てあんたが諦めてどうするんだい! 本当に何も出来なくなっちゃうよ!」
「アルフ……でも―――」
「フェイトがそんなんでどうするんだい? なのはだって力がないのに必死で戦ったんだ。銀時達だって自分達の力で戦ったんだよ。それに、ユーノだって……だから、今度は私達が戦う番じゃないか!」
アルフの激が飛ぶ。此処で自分達が諦めたら、それこそ全てがお仕舞いだ。それこそ、銀時達の苦労が全て無駄になってしまう。そんな事をさせる訳にはいかないのだ。
その為にも、自分達が繋げなくてはならないのだ。例え敵わずとも。例え勝てずとも、此処で諦める訳にはいかないのだ。
「私は戦うよ。勝てないって分かっててもさ、だから、フェイトも諦めたら駄目だよ」
「む、無茶だよアルフ! 一人で勝てる訳ないよ!」
「だけどさ、此処で諦めたくないってのがあるんだ」
微笑みを浮かべ、そのまま怪物へと向ってい行く。両の拳を堅く握り締めて、それを力いっぱい怪物に向かい叩き付ける。
打撃音が辺りに響き渡る。だが、怪物に効いた素振りは見られない。まるで蚊が刺した程度にしか感じていないようだ。
それでも構わずひたすらに殴り続けるアルフ。だが、其処へ再度鞭の様に撓る尻尾が横薙ぎに振られてきた。
「そんなものぉ!」
咄嗟に上昇してそれをかわす。しかし、尻尾を回避したアルフに待っていたのは、怪物の頭部だった。
岩盤の様な怪物の頭部が凄まじい勢いでアルフに向い突っ込んできたのだ。
頭突きの要領だった。しかし、頭の大きさや堅さが段違いに違い過ぎる。まともにそれを食らったアルフは地面へと叩きつけられる。
「がっ!」
全身に痛みが走る。たった一撃でこれだった。いんちきにも程があると言えた。怪物の右足が持ち上がる。地面に落ちたアルフ目掛けてそれを振り下ろそうとしているのだ。
「調子に、乗るんじゃないよぉ!」
その場から駆け出し再び上昇する。今度はその姿を一匹の狼へと変貌させる。
そして鋭い牙をちらつかせて突進した。
怪物の首筋に牙を突きたてる。肉を抉り、血が噴出す筈なのだが、全然効き目がない。
堅い、まるで岩の塊だった。牙がまるで通用しない。
怪物の巨大な手が来ていた事に気付いた時には、既に手遅れであった。
巨大な拳の一撃を受けたアルフはそのまま壁に叩きつけられる。全身を激しく打ち付けられ、口からは鮮血が飛び散る。
全く身動きが取れなくなってしまったアルフに向い、怪物は再び拳を叩き付けた。それも、一回で
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