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とある碧空の暴風族(ストームライダー)
幕間
Trick@02_賭けろよ、あんたの誇りを
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力を相殺していく。
防御が間に合わないワイヤーには、連続で細かいサイドステップを踏んで回避した。

それでも信乃は傷を負った。かすり傷とはいえ、左手の甲、右のふくらはぎ、
そして右の肩から少しだけ派手に血が飛んだ。

さすがに危険を感じて、体勢を整えるために後ろに下がる。

もちろんそれを許す神裂ではない。信乃と同じ速度で突き進み距離を詰める。

「距離が取れないなら、接近戦に!」

信乃と神崎の接近戦の実力は、技術だけで言えばほぼ互角。一年前の模擬戦でも
魔術なしの縛りをした神裂とはいい勝負をした。

今は神裂にはその縛りはない。その代わり信乃にはA・Tがある。
現にA・Tの“時”は、一瞬とはいえ聖人の神裂に勝った。

それを駆使して挑めば勝負は分からないと信乃は考えた。

しかしその考えも裏切られる。

「近づかせません!」

七閃のワイヤーを全て自分の周りに展開し、物理的に接近できないようにする。

神裂が常に保つのは中距離。
七閃のワイヤーが十全に使え、遠距離の翼の道も、近距離の“時”と格闘技も使えない
微妙な距離を神裂は保ち続ける。

最速の炎の道を使えば離れることができるが、あの(トリック)は前方向への移動。
その進む正面には神裂がいる。まさか戦いの最中に背中を見せるわけにはいかない。
背中を見せればただの的になってしまう。

信乃は引くも近づくも許されずに、避け続ける形で戦いは均衡した。

7本のワイヤーの3本を信乃への攻撃と動きを封じる牽制に、
残りの4本を近づかせないように防御に使いペースを握り続ける神裂。

信乃はワイヤーを避けるのと、時折できる少ない空間で、手を叩いて風の衝撃で
攻撃する。ワイヤーを擦り抜ける、この(トリック)だけが唯一の攻撃だった。
その攻撃も神裂に知られているので簡単に回避される。

この技の弱点は前方にしか出せず、予備動作のために足の踏ん張りが必要だ。
踏ん張りの体勢を信乃が取れば、神裂ほどの実力者であれば攻撃のタイミングを
読むのは難しい事ではない。

完全な不利な状態だが、信乃の頭の中は冷え切っていた。

(どうする? 足が万全なら“牙”が出せたけど、無茶な動きをしすぎて
 筋肉断裂がぶり返してる。確実に撃てない。
 それ以前に移動がまともにできなんじゃ、牙も風も炎も無理か。
 轟なら足を高速で振るだけだから、移動は必要なけれど玉璽(レガリア)なしじゃ
 さすがに無理。
 あとの道で出来そうなのは・・・・さすがに玉璽(レガリア)なしでアレは
 時間掛かる。やるなら炎でかく乱させて、攻撃を受けないようにしないと。

 ん、かく乱? あ、動かなくても出来るかく乱があるな。
 “師匠”みたいに舌先三
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