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とある碧空の暴風族(ストームライダー)
幕間
Trick@02_賭けろよ、あんたの誇りを
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 それなのに話せないということは、それほどまでの事情があると勝手に想像します。
 今のあなたの状態だと、どう説得しても話してくれないでしょうね」

信乃の言葉に神裂は沈黙で返した。この場合の沈黙は肯定と同じ。

はぁ、と神裂の強情さにため息をし、信乃は覚悟を決めて再び神裂に言った。

「それなら、力ずくでも話してもらいますかね。
 先程も言いましたが、この学園の風紀を乱すことを放ってはおけませんから」

そう言うと信乃は背中に隠し持っていた40cm四方の銀色のケースを取り出し、
その中にあるA・T(エア・トレック)を自分の足に装着し始めた。

A・Tは一見すればただのローラーブレード。遊び道具を着けている信乃に
上条は驚いた。

「西折、お前ローラーブレードなんか着けて遊んでる場合じゃないだろ!」

「遊ぶつもりはないですよ。これが私の一番の道具であり相棒です。
 遊び道具というのも完全否定はできませんが」

装着し終わると数歩前に出る。これから怒る戦いに上条を巻き込まないために。

「神裂さん、あなたが勝てば何も関わらずにここから去りましょう。
 上条さんをミンチにしようと魚のえさにしようと何も言いません」

「おいおい、それじゃ上条さんはどうなるっていうんでせうか?」

「しかし、私が勝った場合ですが「無視かよ!」 外野は黙っててください。
 私が勝った場合は事情の全てを、一般人にまで手を出すほどの事情を
 説明してもらいます」

「私がその勝負を受けるとでも?」

「受けてもらいますよ。なにせ、性格も体も聖人のあなたが言えない程の事情が
 関わっている。それほどの重大な事を背負っている。
 神裂さんの信念が、誇りがそこにある。

 それならこの勝負に賭けろよ、あんたの誇りを  」

すでに笑みは消えた信乃は神裂を指さした。

「まさか、誇りを賭けた勝負を断るなんてことしませんよね?」

「・・・良いでしょう。信乃、あなたを叩き伏せて退場してもらいます。
 ですがその体で戦うつもりですか? 見たところ足を怪我していたようですが」

「庇っているつもりはなかったんですがね。やはりあなたほどの人なら気付きますか」

信乃が歩いた数歩の間に、数週間前の足の重度の筋肉断裂を言い当てた。
神裂はそれほどまでの実力者だということを、信乃は改めて痛感させられた。

「それに今着けているもの、1年前の模擬戦で使った電動機が入った靴でしたよね。
 忘れたんですか? 戦いの結果は私が圧勝だった事を。
 そんな状態で私に挑むというのですか?」

「私の状態ですか、確かに通常ではありませんね。
 『SkyLink』がない、ただの高性能モーターと高性能サスペンション
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