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とある碧空の暴風族(ストームライダー)
幕間
Trick@02_賭けろよ、あんたの誇りを
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1年しか持たないというのは矛盾が生じるわけです」

「!?」

「反論される前に付け加えますけど、人間の指紋を詳細に覚えられるほど
 記憶能力も記憶密度も高い人です。視認で指紋認証できる異常者です。
 インデックスさんよりも覚える量が少ないから、脳への負担が少なくて
 長生きしているというわけではありませんよ」

インデックスと同じ境遇にいて、まだ生きている人がいる。
これはまぎれもない希望だ。

「本当に・・・あの子は記憶が原因ではないんですね?」

「ええ、他の原因、魔術的な細工が彼女の体にしてあると思います」

「・・・・・・」

神裂は喜びで涙を流し、顔を伏せながら「よかった」と小さく何度もつぶやいていた。





しばらくして、神裂は落ち着きを取り戻して信乃に礼を言った。

「ありがとうございます。あなたには何度お礼を言っても足りないですね」

「神裂さんへの恩もありますし、一人の人間として当然のことをしただけです」

「人間として、ですか。そういえば本当に驚きました。
 まさかあなたがただの人間ではなかったなんて」

「魔術師がいるなら、もう何が来ても驚かないと思ったけど
 妖怪まで出るとは、すっげーなおまえ」

2人が言っているのは戦いの時に戯言のことだった。

「あ〜、ごめんなさい。ぬらりひょんとかは嘘です」

「「は?」」

「あの(トリック)はこうやって出しました」

信乃のA・Tが回転して地面と摩擦をおこし、一瞬だけ炎を散らす。

そして信乃が右に一歩、進む。すると“左”の方から信乃が現れた。
右に移動した信乃の姿も見えなくなっている。

「な、なんですか!?」

「ぶ、分身の術!? 瞬間移動!? お前は忍者なのか!?」

「違います。ホイールの摩擦熱で空気を熱してレンズを作ったんですよ。
 ほら、たき火の上の景色がゆらゆらと揺れるアレ。
 うまく使ったらこんな風なことできるんですよ」

「あ、温度差の屈折ってやつか」

万年落第生の上条が珍しく正しい答えを言う。

「ぬらりひょんの嘘に使った時のレンズは、攻撃されても元に戻るように精密に作りました。

 そのためには高温が必要だったので、突撃する前に周りを火柱を立てて温めたんです。

 仕上げに炎の壁。全ての熱を一つにまとめると同時に、レンズに入る瞬間のズレを
 目くらましにも使いました。今みたいに、右に行ったのに左に出てきたのでは
 神裂さんなら気付かれますから」

「そうですね。さすがに今のようなズレを見れば、答えは出せなくても騙されることは
 なかったと思います」

「な、なるほど?」

納得した神裂とは逆に中途半端な回答の上条。
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