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とある碧空の暴風族(ストームライダー)
幕間
Trick@02_賭けろよ、あんたの誇りを
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信乃が来る直前に説明を聞いていたが、何度聞いても気持ちが
良くなるものではない。神裂と同じように黙り込んでしまった。

そして、同じく黙っている信乃。この事態に驚愕してはいたが、
驚愕していたのは記憶を消さなければならないことではなく、
記憶を消す処置を“させていた”ことだった。

信乃はすぐに気がついた。記憶を消すのはイギリス清教の罠であり、
禁書目録という“道具”を管理するための嘘であることを。

答えをゆっくりと神裂に話し始めた。

「・・・・・神裂さん。これは世界で一番科学が進んでいる、
 脳の研究がされている学園都市で出されている結果なんですけど、
 『人間の脳は140年分の記憶に耐えられる』らしいですよ」

「まじかよ!? だったらインデックスはもっと覚えても大丈夫なんじゃ!?」

「・・・・それは普通の人の話で、彼女には・・・」

喜びの声を上げた上条とは逆に、神裂にはこの程度の事は希望にもならない。

記憶量が異常に多ければ、最大容量などすぐに埋まると思ったからだ。

「記憶というのは様々な種類があります。『意味記憶』『手続き記憶』『エピソード記憶』
 その全ては簡単にいえば記憶する入れ物が違うんですよ。
 事故で記憶喪失で全てを忘れた人が、言葉までもしゃべれなくなるわけじゃありません」

確かにそうだ。完全記憶能力者は少ないが、記憶喪失患者はそれよりも確実に多い。
この研究結果は否定できない。

「だから問題ないです。ハッキリ言えば神裂さんは騙されたみたいですね」

イギリス清教に、とは言わなかった。
答えを言ったも同然だが、言葉にして神裂の絶望を強くする必要はないと
思って言えなかった。

神裂に少し希望の表情が浮かんだ。

だが、すぐにそれを自分の答えで打ち消す。こんな簡単な答え、
学園都市が出した答えでは、信用できない。

一瞬の希望のせいで、より絶望を感じた神裂は声を荒げて反論した。

「しかし、それは常人の話! 完全記憶能力を持った人間には
 当てはまらないかもしれないじゃないですか!!
 彼女は目に映った全てを忘れることができない! 街路樹の葉っぱの数から
 ラッシュアワーで溢れる一人一人の顔!
 空から降ってくる雨粒の一滴一滴まで覚えているんですよ!!」

「そうですね。脳科学はあくまで常人を対象に研究されています。
 いくら理論上は大丈夫とはいえ、完全記憶能力者に絶対に当てはまるとは
 断言できないところもあります」
 
「なら!!」

「ですが、私の知り合いの完全記憶能力者は30年以上も生きているんですよ。
 1年で脳の容量の15%を使うのであれば、6歳で死ぬ計算になります。
 つまり、インデックスさんの脳が
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