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東方攻勢録
第三話
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れに、幻想郷の状況はあなたの手で大いに改善された。先ほども言いましたが、あなたをここで失うのは、我々にとっても惜しいと思ったのですよ」

「だから……俺を亡霊にしたんですか」

「そうですね。まあ、謹慎処分はいい副産物となってくれましたが」

「副産物?」

「あいにく『どこで』とは言わなかったので、利用させていただきました。まあ、そうでなくてもこのようにしたとは思いますが」


淡々としゃべる映姫。俊司と小町はただただ苦笑いをするしかなかった。


「そういえば……なんで小町さんだけがついてきたんですか?」

「あたいも謹慎処分なんだよ。映姫様の道づれだね」

「小町は私の命令に従ったため、同じく謹慎処分を言い渡されたのですよ」

「でも……小町さんの仕事は船頭ですよね?魂を狩った死神は他にいるんじゃ……」


死神には三つの仕事がある。一つは自ら地上へとおもむき、死者の魂を狩る運び屋の死神。二つ目は、魂を狩った死神からその魂を受け取り、彼岸まで届ける役目を持つ船頭の死神。三つ目は地獄で事務や雑用を行う補佐役の死神。小町はこのなかの二つ目に当たる死神である。

それぞれの仕事は確立させており、担当以外のものが別の仕事を行うことはない。つまり、小町が謹慎になったということは、少なくとも最初の魂を狩る死神も謹慎を受けたことになる。だが、その死神はこの場にいない。それが俊司にとっては疑問だったのだ。


「確かに、小町の仕事は船頭です。ですが、今回は特別にあなたの魂も狩ってくるように指示しました」

「それはまたどうして……?」

「いくら謹慎処分と言えど、地獄は現在も人員不足のせいで仕事が立て込んでいます。向こう側の被害も最小限にと考えただけですよ。それに……」

「それに?」

「小町のさぼり癖を考えると、謹慎になったところで支障は少ないはずですから」

「ちょっ……そりゃないですよ映姫様ぁ」

「あたりまえです。だいたいあなたは普段から……」


ある一線に触れてしまったのか、それ以降小町は映姫の説教攻めにあっていた。俊司は説教を聞きながら、ただただ苦笑いをするしかなかった。

それから何分経っただろうか、三途の川を渡り切った一同は川岸に船を止めた後、今後について話をしていた。


「これからどうするんですか?」

「この人数では、まだ戦力的に不安が残ります。そこで、ある場所に行こうと思いまして」

「ある場所ですか?」

「はい。『太陽の畑』です」


太陽の畑。一面が向日葵に覆い尽くされた場所である。戦力不足の解消を行うために行くと映姫は言ったが、俊司にはその意味合いも何となくわかっていた。


「太陽の畑……『風見幽香』さんですか?
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