ナイアーラトテップとの戦い T
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嘘だったかのように再生するまで続いていた。
息も絶え絶えな護堂が周囲を見渡すと、先程までは明るかった世界が、漆黒の帳に覆われていた。
「・・・護堂さん。彼が出てきたからには、もう手加減なんて出来ません。・・・これが、最後のチャンスですよ?このチャンスを蹴ったら、後は、貴方の戦意、もしくは、命のストックがなくなるまで、貴方を殺し続けなくてはいけなくなる。」
いつの間に現れたのか、彼女の隣には、見たこともない異形の神が存在していた。
「・・・・・・。」
この、全てを塗りつぶすような漆黒の世界に浮かび上がる漆黒。腕と足、そして、コウモリの翼のような物を生やしたその神の一番の特徴は、この闇の世界で輝く、真紅の三眼だろう。その神は、一言も喋らずに護堂の事を凝視していた。
「・・・・・・・・・っ!」
腕を切り裂いたのは、間違いなくこの神だろう。そう思いながらも、護堂はフラフラと立ち上がった。その目に、拒絶の意思を載せて。これ程の絶望の中でも、彼は未だ、戦意を失っていなかったのである。
「・・・・・・・・・何て、馬鹿な人・・・!」
(でも、そんな彼を殺せない私も、邪神の枠からは外れているのでしょう・・・)
彼女は、彼から顔を背けた。これ以上彼の事を見ているのは、彼女にとってとても辛い事だったから。今から始まる惨劇を見たくなかったのだ。
「・・・それでは、後は頼みました。・・・いいですね?絶対に殺さないこと。人間が発狂するような攻撃も避けること。ただただ無造作に、彼の命のストックを削り取って下さい。」
そう言って、彼女は近くのコンクリートに座った。この場から居なくならなかったのは、せめて最後は彼の傍にいたいという感情の現れかも知れない。
「・・・。」
コクリと、その異形の神は無言で了承すると、護堂に向き直った。
「ハッ・・・!本命にたどり着く為には、まず門番を退かさないといけないっていうのは、基本だよな・・・!!!」
先ほどの痛みを思い出し、勝手に震える体を無理矢理に動かして、彼は漆黒の神と対峙した。
「行くぞ神様!アンタたちに、人間の意地を見せてやるよ!!!」
戦いは、まだ始まったばかりである。
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