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SAOもう一人の聖騎士
追想〜迫る思惑、死銃の残影〜

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「よう、この姿で会うのは死銃とやりあった時以来だな」

ばさりとコートを翻し、飄々と笑うクラディール。シュピーゲル自身は攻略組としてのクラディールを知らない。しかしかつて審判の騎士として恐れられた彼は、目の醒める様な純白のコートを見に纏っていた。・・・・・・・流石にあの頃はテンガロンハットなど被っていなかったが・・・・・・・

とは言え、彼はここにはいない筈の人間だ。本来なら彼は一日限りでGGOへと舞い戻ったシュピーゲルとシノンをあのユグドラシル・シティのテラスで待っているはずである。

「はは、分かるぜ、何で俺がここにいるのか分からないんだろう?詳しい説明は面倒だから後にするが・・・・・・一言簡潔に言うとこうだ」

そこで一旦話を切り、彼は思いもよらぬ事を口にした。
これは、シュピーゲル自身がまだ、あの骸骨の亡霊に囚われたままであることを、明確に表していた。

「死銃を名乗る奴が、また現れた。しかもそいつはただのモノマネ野郎じゃない、奴と・・・・・・・ザザと同じように、しかしザザよりも遥かに速いスピードでGGOプレイヤーを消している」

どうやら、平和なあのテラスへ戻るのは、当分無理そうだとシュピーゲルは溜め息をついた。

「あとこれは一番お前に伝えなきゃいけなかった事なんだが・・・・・・・その偽死銃のターゲットには、シノンの奴も入っているらしい」

灰色の疾風が、漆黒の壁に受け止められる。

「クラディール!離してくれ!早くシノンのところに行かなきゃ・・・・・・・!」

「落ち着け!今焦ってどうする、そんなんじゃ勝てる相手にも勝てねぇぞ!ほら、マップを見てみろ、あいつらは全員健在・・・・・・・」

だ、と言いかけて、言葉が止まる。クラディールは、踵を返して金属扉に向き直り、ロックが掛かった金属扉をバラバラに斬り刻んだ。

「どうやら、否が応でも急がなきゃいけねぇ事態になっちまったみてぇだな」

シュピーゲルの背後、彼が起動した端末に表示された全体マップには、シノン達であろう光点に近付く光点がはっきりと表示されていた。

「・・・・・・急ごう」

「ああ、久しぶりだな、この感じ・・・・・・!」

今は感情に流されている時ではない。大切な人の元に、一刻も早く駆けつけなければならないのだ。冷静さを取り戻したシュピーゲルと、不敵に笑うクラディールの剣閃が、彼らに気付いた機械兵を瞬時にガラクタに変える。

「「さあ、フィーバータイムのスタートだ!」」
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