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Magical Girl Lyrical NANOHA− 復元する者 −
第6話 母の願い・妹の誓い
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「ん?なに?」

「何で、くーちゃんを毎年この日に必ず働かせてるの?普段なら遠慮してるのに」

「・・・・」


そう・・・・。
いつもは気が向いた時で良いと言っているのに。
この時期になると、我が母は弟を必ず店でお手伝いをさせていた。
色々、理由付けをして。
それが毎年、引っ掛かっていた。


「ねぇ、どうしーーー」

「美桜がね・・・・」

「え?」

「美桜が・・・・葛葉の本当の母親があの子を預けにきた日なの。今日は」

「・・・・」


桃子が小さく呟く様に答える。
母の話す理由に耳を傾ける。


「もしかしたら来るかもしれない。そう思ってね・・・・」

「けど、その人、くーちゃんを預けてから一度も会いに来てないんでしょう?」

「そうね・・・・」


美由紀の言うとおり。
葛葉を……あの子を預かった雨の日から9年。
彼女は一度も現れない。


「その人なんで、くーちゃんをお母さんに預けていったの?」

「分からないわ。何か事件に巻き込まれた可能性があるけど詳しくは何も聞けなかったから。彼女が頼れる親しい友人なんて私くらいだしね」

「友達いなかったんだ、そんなに……。どんな人なの?美桜さんって」


交友関係の広い母の知り合いの中で、葛葉の実の母の事について美由紀は何も知らなかったので問い掛ける。
桃子は「そうねぇ〜」と思い出す様な表情になる。
昔の事……若かりし頃の自分と彼女の事を思い浮かべる。


「ふふふ……そうねぇ、美桜は・・・・」

「うん」

「天才だったわね♪」

「天才?」

「そう、天才。正直、彼女の考えてる事は学生時代から、全然分からなかったわね。いつも難しい事ばかり考えていたから」


本当に天才と馬鹿は紙一重と言うが。
彼女にはその表現が相応しい。
頭は確かに良かったが少し内向的で他者を拒絶していた少女。
けど、ちょっと何処か抜けていた。
自分が彼女と友人になれたのは奇跡といえる。


「だけどね。私にはとても大切な親友だった」

「そうなんだ」

「だって私がパティシエに成れたのは彼女のおかげだもの」

「へ?」


昔の事を思い返し、笑みが零れる。
本当に彼女には感謝しきれない恩がある。


「私が15歳の頃ね・・・・本場で修行したいって言って、それを両親に反対されたの」

「まぁ、普通に考えたら……ねぇ」

「けど、美桜がね……家に来て両親を説き伏せてくれたの。"貴方達に桃子の将来を決める権利はない"…なんて不躾に父さんや母さんに説教しだしたのよ。流石に唖然としたわ」

「ほぇ〜凄い人だね」

「ええ・・・・本当に型破りだったわ…彼女は
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