第5章 契約
第69話 シャルロット
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の底から見上げる視線。
形は人の瞳と変わらぬ形。
しかし、その瞳が浮かべる色が、放つ光が、そして、周囲に与える威圧感が違う。
対するは、
右手を高く掲げる俺。
その先に現れる聖なる槍。
そう。この槍こそ、神を屠る槍。
その瞬間。瘴気すら放ちながら、巨大な右腕が振るわれた!
そうだ。もし、俺が単体でここに存在していたのなら、間違いなく意識を持って行かれ、二度と目覚める事が出来なくなるで有ろう歪みを発し、タバサへと繋がる因果の糸を辿り、自らが支配下に置く牛頭鬼を巻き込みながら、遙かな高みに存在する俺を目指し、昇り来る黒き右腕。
但し、此度のそれは、先ほどのそれとは違う。
今回は、明らかに手を開いた状態。自らの手で目標を掴み取り、完全に拘束する事を意図した手の動き。
自らの丹田に集中して行く霊気……俺の場合は龍気を普段よりも明確に感じる。
これは、湖の乙女と同期した時にも感じた解放感。
人としての枷が外れ、無限にも等しい龍の気を自在に扱える高揚が俺を満たす。
丹田に集められた俺のすべての龍気が、螺旋を通り抜け、肩から腕。腕の神経と更に其処から真っ直ぐに伸ばされた指の先へと一気に流れ込む。
そして、最早臨界点にまで達した聖槍から放たれる蒼き光が、昏き物質に支配された世界を真昼に変えた。
遙か地上を見下ろす俺。
其処には……。
巨大な牛角の魔神の頭部に身体の半ばまでを埋めながらも、俺の【言葉】を信じて、手にする人間の頭骨を掲げる少女の姿。
その右腕に反射する強い銀の光。
渦巻く力をタバサが誘導し、同時に神に等しい万能感に酔いしれようとする俺の意識を現実に繋ぎ留める。
そう。すべての龍気を螺旋の行き先へと間違いなく導いて行くのだ。
「――――神を屠れ」
自然と口から発せられる言葉。
そう。既に俺の全身には異常な力が満ち溢れていた。
その爆発寸前の龍気が、自らの肉を噛み千切り、骨をすり潰し、敵を屠る前に自らの身体を喰い尽くす方が先のような状態と成って居る。
その爆発寸前の龍気。神殺しの属性を与えられた者の霊気が、神の敵と称される吸血鬼の少女に因り、神殺しの槍へと集められる。
そう。俺の右手の先に顕われたのは魔槍に非ず。
これは――――。
「運命の槍」
神の子を刺し貫き、奇跡を生み出す聖なる槍。その槍を持つ者は世界を制するとも、運命を制するとも言われる。
右腕が無造作に振り降ろされた刹那、世界が白光に支配された。
そう。世界のすべて。牛頭の魔神も。因果の糸を昇り来る牛頭鬼も。人間の頭骨を掲げ
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