五十六 贖罪
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死神に喰われたはずの初代火影・二代目火影の魂。
死神から手を離す。「契約は無効だ」と空々しく告げた少年は、囚われたヒルゼンの魂を再度見遣った。
「魂を封印していないお前に、術者の魂を喰う資格はない」
瞳の青に、死神の姿が映り込む。同時に、周りを囲んでいた黒き炎が消えた。
空を仰ぐ。先ほど封印した二つの魂がゆっくりと天へ昇ってゆく。それを愕然と見上げていたヒルゼンが視線を少年に戻した。
「神と名のつくモノは嫌いなんだよ」
俯き様に少年がぽつり呟く。
「たとえそれが死神でもね」
それはまるで心の底からの言葉であった。
死神の姿が掻き消える。
突然消えた死神に、ヒルゼンは瞳を瞬かせた。術を解いたわけでもチャクラ切れというわけでもない。しかし確かに今は死神の腕の感触さえも感じられない。
訝しんでいたヒルゼンは、いきなり襲ってきた激痛に顔を顰めた。ガクリと膝が落ちる。
焼けつくような痛みに見下ろすと、まるで鉛のように両足が変色していた。
完全に封印する事は叶わぬとも、魂を部分的に切り離す事で対象者の身体の一部を半永久的に動かせなくする。大蛇丸の腕と同じ症状に、ヒルゼンは苦笑を漏らした。
「…大蛇丸の腕を奪った代償か…」
ヒルゼンの動かぬ足を見て、少年が口惜しげに零した。まるで自分を責めているかのような物言いに、ヒルゼンは思わず口を挟む。
「死ぬよりはマシじゃのう…」
けれど内心、彼は死ぬつもりだった。里の為ではない。大蛇丸の為でもない。
自分自身の後悔故に、ヒルゼンは死にたかった。
「…―――わしを恨んで、里に来たのか?復讐をしに…」
暫しの沈黙の後、ヒルゼンは意を決して問い掛けた。少年はその詰問に一度目を瞬かせ、やがて苦笑した。
「…貴方自身は恨んでいないがこの里は憎い…とでも言えば満足ですか?」
辛辣な返答にヒルゼンは項垂れた。
わかっていたはずだった。この少年が、いや、うずまきナルトが木ノ葉を憎んでいる事など。
けれどどこか期待していた。切に願っていた。
それが自惚れだったと己を恥じていたヒルゼンを、ナルトはじっと見下ろしていた。ややあって肩を竦める。
「………冗談ですよ」
その軽い口調にヒルゼンは顔を上げた。悪戯小僧のように微笑む彼は、母親にそっくりだった。自分の瞳にだけ映る、ストレートな紅き髪も。
「……お主、わしの眼に細工しよったな…?」
恨めしげに言う。ヒルゼンの言葉にナルトは無言で微笑を返した。
「わしの眼にだけお主の金髪が紅い髪に見えるよう、何らかの術を掛けたのか」
ヒルゼンの話を聞きながら、ナルトがパチンと指を鳴らした。さらりと揺れた紅き髪がヒルゼンの視界で金に戻る。
受
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