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王道を走れば:幻想にて
第四章、終幕 その1:女修羅
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ター・ザ・ソード一同によって狙われていると書状は言っているのだ。一見して重要そうに見えぬ命令であるが、御丁寧な事に後者の文面に掛かるように赤い捺印がされてあった。どう見てもエルフ領内の治安よりも秘宝の方を重要視するようにしか見えず、それだけに慧卓らは頭を抱える羽目となってしまった。
 時間を置いた末に、第一に発言したのはキーラであった。

「エルフの方々は何か仰ってましたか?私達の事について」
「イル=フード殿が言っていた。『このような不安定な情勢下では、互いに手を取り合う事こそが上策である』とな。私達が治安を守るの助けとなる分には、彼らは認めてくれるだろう」
「すると第一の命令は特に苦戦することはないでしょうね。信頼していただけるならばそれが一番ですから。・・・さて、本題は後者なんですけど、そもそもの疑問としてこの秘宝というのは現存しているのですか?」
「していなければ命令は出さないよ。・・・まぁ、実際問題、その秘宝が残っていようが残ってまいが関係ないんだ。ようは、あいつらを邪魔すればいい。この一団が王国にとって大きな不利益を働くかもしれないと、この命令は警告しているんだ」
「不利益・・・」「文献通りの事態になるなんて、俺は思いたくない。でももしあんな、あんな危険な奴の手に渡ったら、悲惨な事が起きるだろうな」

 聖鐘で見た若々しく、情熱的な火を目に燈した青年を思い出す。もし秘宝の力を手にすればその瞳の火はやがて狂気となって、青年自身を、そして罪なき人々と燃やすに違いなかった。狂王の秘宝が現存するという仮説に基づく想像であったが、慧卓に危機意識を募らせるに十分なものであった。
 聖鐘の事件を思い出したのか、キーラは目を細め、そしてアリッサは頬に親指を当てながら、視線を落としている慧卓に問う。

「この一団というのは、確かケイタク殿が以前遭ったという者達か?一人は倒されたが、残りの二名は逃走したという」
「多分そうです・・・やっぱりあいつらも狙っているのかな」
「彼らも知っているのか?」「おそらく。・・・聖鐘が襲われた時に遡るんですけど、実は聖鐘の真下に秘密の部屋があるんです。あの時ちょっとしたはずみで俺と一団のリーダーっぽい男がその部屋に落っこちちゃいまして、その時に秘宝の在処を明らかにしている地図みたいなものを見てしまったんです」
「それが、ヴォレンド遺跡なの?」「だと思う。合点がいった。あいつらはどういう訳か秘宝の存在を嗅ぎ付けて、そして今、その秘宝がある場所へと辿り着こうとしている。秘宝に込められた魔法の力というものも、知っているに違いない」
「・・・この一件、楽観視は禁物かもしれんな」「みたいですね」

 女性陣は視線を合わせてそう言い合った。命令の背景にある王国側の危惧を理解したアリッサは、僅かに前のめりとなっ
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