幕間+コーデリア:召喚とは
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る手段が確立されてないもので・・・。ただ一つ推測できる事があるとすれば、『帰還』して再び『召喚』されるくらいだから、おそらく無事に存在しているだろう、という事です。クマミ様が、その証明でしょう」
「・・・言われてみればそうですね。あの人、三十年前には此処にいたって、皆が知っているんですから。それで次に現れた時は、歳を取った姿・・・向こうの俺は無事なのかな」
「流石に、一度の召喚で二人も呼ばれるとは誰も予想もしていませんでしたが・・・。召喚の経験についての詳しい事はクマミ様に尋ねた方が早いかもしれません。あの方の実体験は何よりも重要ですから」
「そのようですね。今度、質問を用意した上で、尋ねてみるとします」
ーーーこれ以上はしても仕方がないか。
慧卓は一端は質問を引き下げる事にした。コーデリアとて全てを知っている訳ではないからだ。彼女は父親より召喚の器である髪飾りを託されただけで、実際に熊美が召喚されるまでは親の形見程度にしか思ってなかったであろうと、推測できるからだ。
ここで一つの疑問が生じた。彼女の父親は熊美と自分が召喚された時には、既に『亡くなっている』筈。だが術者の肉体的には死んでいるのに召喚魔法は行使された。これは一体なぜであろうか。
これに答えるかのようにコーデリアが話を続ける。
「『セラム』に召喚されたものとて、それ自身の意思があります。召喚に対して忌避的な感情を抱く事もあるでしょう。そこで救済手段として、『帰還』の魔術があるのです。一端召喚者と召喚されたものとの間に契約を結ばせ、その契約を通じて元の世界へとそのものを帰還させるのです。この契約の際に必要な媒介が、『召喚の器』です。
契約によってそれぞれの魂が結ばれ、それは器という具体的な形に現れます。召喚されたものが、召喚者に従属する形で。双方の当事者が死なない限りは、契約は存続し続けます。これにより器を通じてそれを、『セラム』へ再召喚する事が可能となるのです。その際、器を使うのは誰であっても問題は無いそうです」
「あの、また質問があるんですけど、契約を結ばないと帰れないんですか?魂が従属って、言い方を変えれば隷属ですよね?普通はいやなんじゃないですか?」
「・・・契約によって召喚魔法の安定性と確実性を得るためです。仮に契約の無い状態で『帰還』の魔法を行使したとしましょう。するとそのものは元の世界へと戻る途中、まるで風に飛ばされる塵のように空間を漂い、もしかすると元の世界に帰れなくなる事も考えられます。仮にどこかの世界に着けば僥倖。ですが風に乗ったまま谷底へと落下したらどうでしょうか。私達はこの谷底、世界と世界の間に広がる奈落の闇を、『ペシデの極地』と呼んでおります。ここに落ちたらそのものは二度と這い上がれず、永遠に闇の中を彷徨うと信じられているのです
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