Episode2 好きなおかずは?
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いままの表情のキリトが俺をまっすぐ見た。
「悪い…。忘れてた…」
「何を?」
「オレンジプレイヤーは《圏内》に入れない…」
「あっ…」
俺自身、自分のカーソルの色が変わっていることを忘れていた。忘れるはずなんてないのに、別のことを考えすぎていた。…このなんでも棚上げする癖は治した方がいいかもしれない。
「そもそもさ、こうなっちゃったカーソルってどうやって治すんだ?俺知らないんだけど知ってる?」
「一応犯罪フラグをなかったことにするクエストはあるにはある。ただ、激ムズらしいけどな…」
「そりゃ簡単だったら困るし。…えっ?クリア出来ないレベル?」
俺の質問にキリトが答えあぐねたのか、後頭部を掻いた。
「…俺も実際にやった奴の話なんて聞いたことがないんだ。あるって話は聞いたことあるけど」
「うわー。じゃあ、探すところからかぁ。いやでも、あるって分かっただけで助かるよ」
礼を言った俺に苦笑を返しながらキリトは右手を振りウィンドウを呼び出した。
「俺の知り合いに情報屋がいるから、聞いたらわかると思うんだ。待ってもらっていいか?」
「待つのは全然いいけど…。そこまでしてもらうとなんだか悪いような……」
「今さらだ。気にするなよ」
いたずらっぽく笑うキリトに曖昧に笑顔を返した。と、その時キリトが急に俺から目を離し街の方を見た。それに続きアカリもそちらを見遣る。アカリは今にも首を傾げそうな表情だが、キリトの顔は眉根が寄せられ怪訝そのものだった。
遅れて俺もそちらを見ると、街からこちらに向かって数人が歩いて来るところだった。耳を澄ますと規則的にガチャガチャと金属が擦れるような音が聴こえる。
「まずいな。いったん隠れるぞ」
「なんでだ?それにあいつらは?ってか、隠れられそうな物がないんだけど」
「《隠蔽》でその辺の木に張り付け!」
「いや、悪いけど俺人をやり過ごせるほど《隠蔽》高くないんだけど」
「はぁ?…ダメだ、もう間に合わないか…」
朧だった一団が顔まではっきり見えるほど近付いてきた。ただ、先頭の一人以外全身の鎧と同種の金属ヘルメットを付けているために見分けは付かない。
先頭の一人はイガグリ頭をしている。大声で何かを話していたそいつがこちらに気付いたようで手で後ろに続いているもの達を止めた。…なんだか、軍隊みたいだ。
「よう!自分キリトやないか!」
声を掛けられたキリトの顔が露骨に歪められた。
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