できごと。
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ね。自分探し!いい響きだ!おっとそうです二つめ、目的は自分探しです。そのために夜、道行く人に喋りかけ、話かけ、語りかけていたのです。…がこの姿では大抵、いや全ての人に逃げられました。かろうじて通じていたような会話は『はなしかけるなぁっ!バケモノぉっ!』や『いやぁぁぁ!こっちにこないでえぇぇっ!』くらいでしたからねぇ…。あれはちょっと傷つきましたよ…。とそんなところですかね。よろしいか?」
…これは思っていた以上に『よくある』状況のようだ。もちろん漫画や小説のようなという意味でだが。
危害を加えてくる様子もない。
うん。大丈夫だ。
「じ…じゃあ!要するにあなたは幽霊で、自分が誰だったかを調べていたんですね?」
「そうなのです!非常に呑み込みが早い!君は賢い子供のようだ!」
「…ありがとうございます。」
「ふむ。それでは失礼、本題に入らせて頂こうかな。」
「はい。」
「では話そう。私は君に率直に言えば、私の人だったころの、まだ人間だったころの私に心当たりはないだろうか?ただその質問のみが私の君に対する目的であり私の目的であるのだ。どうだろうか?君。私を知らないかい?」
「いいえ。」
僕は正直に答えた。
「そうか…それは残念至極。しかし!ありがとう!私は久しぶりに人と話せて非常に!至上に楽しかった!本当に嬉しかったよ!感謝する!君と出会えて幸せだ!うん。また出会えたら是非とも私とお話してくれたまえ!もうすぐ十時だ。私は何故かこの時間にはいつも消えるのだ。そして暗くなるとまたそこにいる。ふふ。幽霊の門限かな?という訳だ。また会おう!」
「あ…さよな」
「おっと!失礼!名乗り忘れていた!いや、自分で考えて名乗っているだけなのだが。」
『私は九月楠という。』
と聞こえたときには視界からあの不気味なのっぽな幽霊は消えていた。
なんか……あっさり消えたな…
くがつくすのき?変な名前だ。しかも人が別れの挨拶しようとしたのに。っていうか本当に消えた。本当に幽霊なんだ。
僕は不思議な感覚に支配されていた。幽霊と会話をして感謝されたなんて…
大人だって誰だってこんな体験したことないだろう。すこし怖かったけど。
だがまた会えたらいいなんて、僕は考えている。
そうこれが僕の体験した奇妙なできごと。
八月七日の夜10時のできごと。
僕は怪奇でよく喋る幽霊に、
「行き会ってしまった…。」
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