進むとはなんだったのか・・・
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そもそも。
まつろうとかまつろわないとかそれ以前に、そもそもナイアーラトテップは『邪神』である。
人を騙し、人を陥れ、人を狂わせる。世界滅亡の鍵になってしまうかもしれないような核兵器の開発すらも扇動し、人間と神々を嘲笑い続けているという、まさに『悪神』の代表格と言ってもいい。
彼女がナイアーラトテップという『邪神』である以上、彼女が人を傷つける行為をするのは、最初から決まっていたことであり、通常ならばそこに疑問を持つこと自体が可笑しい話なのである。
・・・が、現実問題として、実際に彼女は疑問を持っている。己の持つ力に。『彼を傷つけたくない』と考え、『どうにかして彼を救いたい』とすら思っている。しかし、『まつろわぬ性』というものは本当に厄介なもので、心では傷つけたくないと思っていても、どうしても破壊衝動を抑える事が出来なかった。もし、記憶と神性を取り戻し『まつろわぬナイアーラトテップ』として覚醒を果たした今の自分の前に彼が現れたら、自分は彼を殺してしまうだろう。
もし、今この場所にいるのが自分だけならば、自分がこの島から去ればよかった。彼の持つ神器に権能を簒奪されたままだが、いくら神器とはいえ、それ程長い期間神々の権能を保ち続けることなど不可能な筈。時間が経てば、奪われた権能は、自然に彼女の元へ戻ってくるハズだった。
しかし、この状況で彼女がこの島からいなくなるのは悪手である。
何故なら、彼女の宿敵であり天敵である、『まつろわぬクトゥグア』がこの島に存在しているからだった。彼女は、彼のことをなんとも思っていない。あの時見逃したことすら、彼女の気まぐれが起こした奇跡に近いのだ。殺したいほど憎んでいるナイアーラトテップが居なくなれば、その怒りと恨みをこの島に向ける事も、十分に考えられる事だった。もしそうなれば、この島は原型を留めない程に焼け焦げて、地図の上から消失してしまうだろう。
ならば、彼を守る為にはどうすれば良いのか?
彼女が出した答えは、守りではなく攻め。
どうせ彼には、ナイアーラトテップとクトゥグアの精神汚染の権能は効かない。ナイアーラトテップから奪い取った権能が、その効果を中和し、打ち消してくれるからだ。ナイアーラトテップが覚醒したことにより、神器が奪い取った権能も効果を発揮しているはずなので、怪我は修復しているだろう。後は、彼が安全な場所で隠れてくれているのを信じるだけだった。
(でも、そこまで心配はしなくてもいいですよね?今回のことで、まつろわぬ神がどれほど危険な存在か分かったでしょうし。態々自分から危険に飛び込むはずが有りません)
まぁ、この推理には穴があるのだが。
そもそも、何度も言うが、護堂はただの一般人であ
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