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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
誰かを想うカタチ
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では、これ以上は私がどうこう言う問題ではありませんね。頑張って下さい」

自分は、きちんと笑えているだろうか。それだけが不安で仕方がない。
だが、シロウは早苗の心の機微を気にする様子もなく会話を続ける。

「まずは仕事を探すところからだがな。幻想郷でどんな仕事が出来るかもいまいち分からないから、しばらくは手探りになるかもな」

「幻想郷の景気って、どうなっているんでしょう。考えたこともありませんでした」

「例の里が人間にとっての世界の殆どを占めていると考えれば、仕事場はあそこぐらいしかないだろうし、取り敢えず明日にでも向かってみることにするよ」

そこから私達はどちらからともなく居間の方へと歩き始める。
その間ずっと、早苗は偽りの笑みを浮かべていた。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「いやー、今日は不躾にお邪魔しまして、申し訳ありませんでした」

「いいよいいよ。お陰で面白い話も聞けたしね」

射命丸と諏訪子が玄関前で会話している。
早苗を迎えに行っている間に、諏訪子は射命丸から色々話を聞き、話題に花を咲かせていたらしい。
因みに話題のネタの大半は、例の告白の内容だったらしい。私の時はそういった話題にはならなかったのに、何故はたてと交代した途端にそうなったのか。
元より諏訪子に遠慮なんてものはないだろうから、あまり知らない相手より勝手知ったる相手の方が弄りやすかったから、自然とそういう雰囲気になったのかもしれない。
何にせよ、ご愁傷様としか言えない。
帰ってきた時、はたては涙目だったからな。どんな赤裸々な会話が繰り広げられていたことやら。

「あの、シロウ。また遊びに来てもいい?」

「私が言って良いのかは分からんが、私個人としては歓迎する所ではある。だが、いつでもここにいると言う訳ではないから、その辺りは考慮して欲しい」

「それぐらいは分かってるわよ」

会って間もない頃は敬語だったが、随分とフレンドリーになったものだ。
これが本来の姫海棠はたてなのだろう。雰囲気は凜っぽくないという第一印象だったが、もしかすると撤回することになるかもしれない。

「では、お邪魔しましたー」

「お、お邪魔しました」

天狗の少女達は各々挨拶を済ませ、空へと飛び去っていく。
その姿を見送っていると、諏訪子が話しかけてくる。

「結局、あの子とは付き合わないんだよね?」

「今はな。私が自立して、伴侶となる相手を支えられるような甲斐性を持たない限りは、ずっとこのままだろうよ」

「ふーん……まぁ、いいよ。私がどうこう言う問題でもないしね。でもさ、」

そこで言葉を区切った瞬間、圧倒的なまでの殺気に中てられる。
どす黒い、混じりけの無い悪意のみの意思。
純粋故に
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