第九章 双月の舞踏会
第四話 自由騎士
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然真っ赤になったアンリエッタに、士郎は首を訝しげな顔をする。
一瞬眉根に皺を寄せた士郎だったが、何かを思いつくと手を伸ばし、アンリエッタの赤くなった額に手のひらをぺたりとつけた。
「ッッッっ!!?」
「……熱はないか」
アンリエッタの額に当てた手とは逆の手で自分の額に手を当てた士郎が、首を傾けると、
「な、なななな何でもありません!」
アンリエッタは士郎の手を振り払うように背中を向け、逃げるように一歩、二歩と前に足を動かした。
「っ、ん、んんっ! と、ところで、ですね」
わざとらしい程大きく咳払いを一つすると、アンリエッタはゆっくりと振り返り士郎と向き直った。視線を落としているためか、士郎が隣に隣に立つルイズから横腹を抓られていることに気付いていない。
「先の戦争でのシロウさんの功績は、トリステイン……いえ、ハルケギニアの歴史でも類がないものです。たった一人で七万の軍勢を敗走に追い込む……物語に歌われる英雄であっても不可能でしょう」
ゆっくりと顔を持ち上げたアンリエッタは、潤んだ瞳で士郎を見つめ、
「本当にありがとうございました」
深々と頭を下げた。
一国の王が平民に対し頭を下げる姿に、ルイズは息を飲む。
頭上の王冠がずれ下がる程、大きく頭を下げるアンリエッタは、何も言わずただ頭を下げ続けるだけ。
呆然と立ち尽くしていたルイズだったが、王冠がアンリエッタの頭から落ちそうになるのに気付くと、ハッと正気に戻り王冠を支えようと手を伸ばし、
「そんなに頭を下げなくても気持ちは十分に伝わっている。ほら、王冠が頭から落ちそうになっているぞ」
たが、その手は空を切ることになった。
ルイズよりも先に伸ばされた士郎の手が、アンリエッタの肩に置かれ、優しく起こしたからだ。
「しかし、ルイズから聞いた話では、俺がアルビオン軍を止めたという話は、噂でも殆んど広まっていないと聞いたんだが?」
顔を上げたアンリエッタに向かって、士郎は顎に手を当て顔を捻る。
「アルビオンのホーキンス将軍から直接話を聞きました。あなたが七万の軍を正面から打ち破り自分の右腕を切り飛ばしたと」
「そう、か……」
「シロウさん?」
アンリエッタが訝しげに士郎の顔を覗き込む。
一瞬、士郎の顔に安堵の色が浮かんだように見えたからだ。
「ん? 何だ?」
「……いえ、何でもありません。それでですが、シロウさんの他に類がない程の働きに対する報奨に関してですが」
問いに反応する士郎に、聞いても詮無きことだと思い直したアンリエッタは小さく首を振ると、ルイズたちをここに呼び出した目的を口にしようとしたが。
「いや、気にすることはない。俺はルイズの使い魔で軍人
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