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『もしも門が1941年の大日本帝国に開いたら……』
第三十三話
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その時、一両のチハが砲搭を回転させてジゼルに照準したのだ。樹は二人にそう言ってロゥリィを抱き締めて地面に伏せた。
「ひィッ!?」
チハの五七ミリ戦車砲は九〇式榴弾を発射して九〇式榴弾はジゼルの左三十メートルのところに着弾したが、これは威嚇射撃であった。
「……逃げるが勝ちだぜッ!!」
ジゼルはとても勝ちそうにないと判断して敵前逃亡――所謂逃げたのである。
「良いのか?」
「良いわぁ。懲りずに来るのならぁ、追い返せば良いわぁ。それにぃハーディの妻女にならない理由も出来たしぃ」
「………」
どう反応していいか分からない樹であった。
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