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同士との邂逅
二十 詐術
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逃げられやしない」
「そんなのやってみなくちゃわかんね―だろ!」

そう叫ぶなりサイキックソーサーを投げる横島。馬鹿の一つ覚えだな、と嘲笑した音忍はすっと首を僅かに動かし、それをかわす。その隙に横島は頭上に向かって[栄光の手]を伸ばした。木の高所にある枝を掴み一気に上昇しようとする。しかしそれを見越してか、音忍の一人が空に跳び上がり横島の脳天に踵落としをくらわした。

「うげっ!!」
舌を噛みそうになりぐわんぐわんと脳が揺れる。そのまま地面に激突した横島目掛けてクナイと手裏剣の雨が降り注いだ。

先ほどは一方向から跳んできたため【壁】で済んだが今度は多方向からの雨。


「ぐ……ッ」
朦朧としたまま無意識に最後の文珠を発動。【護】の文珠は横島の周囲をまるでドームのように包み込む。強固な守りの結界は降り注ぐクナイや手裏剣を全て弾いた。二度も防がれた事に驚愕しながらも忍者達は愉悦の表情を浮かべる。

「やはりコイツ、なんらかの血継限界を持ってやがる」
「生け捕りにしろ!大蛇丸様がお喜びになる」
文珠で創り出した結界を血継限界の力だと思い込んだ忍者達は、横島を逃がすまいと取り囲んだ。


[生け捕り]という単語に横島はビクリと肩を震わせる。今になって文珠を使う事をナルトが何度も何度も咎めた理由がようやく解った。こういった者達に目をつけられるのを危惧しての事だったのだ。
苦虫を噛みつぶしたような表情を一瞬浮かべ、その直後横島は【護】の文珠を握り締めたまま走りだした。


ドーム状の守りは横島が【護】の文珠を握っている限り、結界ごと移動可能。ただし結界を維持し続けるのは横島の霊能力に掛かっているので、時間は制限される。【護】の文珠の効果が続いている間にと忍者達から逃げる横島。
篠突く雨の如くザクザクとクナイと手裏剣の嵐が横島に襲い掛かる。それでも逃げる事だけを一心に考え、彼は足を動かした。

額から滴り落ちる汗は冷や汗なのか疲労したためか。そんなどうでもいい事を考えながら全力疾走する。ただひたすら走っている横島は走る速度が落ちている事に気づかなかった。




ガクンッと膝が笑う。突然横島の身体は前のめりに倒れた。集中力が切れ、横島の身を覆っていたドーム状の結界がパンッと弾ける。文珠の【護】の文字がふっと消え去った。

「う……あ…?」
ぐるんぐるんと目が回る。吐き気がし、全身から汗がどっと吹き出た。
(気持ち悪い………なんだコレ)

地面の感触を頬に感じながら、足に力を入れようとする。しかしながらまるで石になってしまったかのように彼の身体は硬直していた。


「……ようやく毒が効いてきたか」
「まぁ、これだけ走れば毒の回りも早いだろうな」
忍者達のくつくつ笑う声が遠く聞こえる。朦朧と
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