二十 詐術
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込まされている。
姿は見えずとも、確実に横島の位置を捉えている忍び達。
飛躍するクナイをサイキックソーサーでなんとか弾きながら走る彼の前に、追いついた一人の忍びが立ちはだかった。
「【火遁・業火球の術】!!」
「ぅわ、あちちちちちちっ!!??」
ゴウッと等身大ほどの炎の球が横島に押し寄せる。涙目になりながら彼は文珠を発動させた。居場所が知られている以上、【隠】の文珠を持っていても意味が無い。【隠】を【水】へ即座に変えると、炎の球に向かって投げつけた。
ジュッという音と共に煙が立ち上る。一瞬で火を相殺した文珠はすぐに消え、辺りは煙に覆われうっすらと白ばんだ。
(よっしゃ、今の内…)
コソコソと煙の中を掻い潜るようにして横島は走る。煙を抜け、未だ朦朦と立ち込める背後を振り返り、はあっと息をついた。
「助か……」
「た、とでも言うつもりか?」
ひっと喉が詰まり前方に視線を戻すと、横島の真正面に八人の忍者達が立っていた。
「【業火球の術】を相殺するとはな。どうやらただの男ではなさそうだ」
「手間取らせやがって。だがもう終わりだ」
徐々に距離を縮めながら周囲を取り囲む。忍者達の視線を一身に浴びていた横島が顔を伏せた。
観念したかとほくそ笑んだ忍者達は、次の彼の行動に対処し切れなかった。
「ああ―――――――――――ッ!!!!アレ、何だッッッ!!!!」
いきなりある一点に向かって指を指しながら絶叫する横島。突然のその行為に忍者達は一斉に彼が指差したほうへ目を向けた。
………何も無い。ただ鳥が空を旋回していた。
はっと振り向くと、既に横島は先ほどの道を引き返していた。あまりにも自分達を舐めた行動に激怒する忍者達。火遁を使った忍者とは別の忍者が印を結んだ。
「…っ、舐めやがって!【土遁・裂土転掌】!!」
地面に亀裂が奔る。ビキビキと地が呻き声を上げ、足元がぐらぐらと揺れた。突然の地割れは逃走する横島の足を挫けさせる。
「うわ、今度はなんだ!?」
横島が驚愕の声を上げるのと、忍者達が一斉にクナイを投げたのは同時刻であった。
クナイの雨が、地割れに足をとられている横島の頭上に降り注ぐ。
「うぎゃぁあぁあ!!??」
涙目で絶叫する彼の姿を遠目に見た忍者達は皆(死んだな)と思う。
しかし次の光景を視界に映し、彼らは瞠目した。
「はぁ―はぁ―……やっぱ忍者って恐ろし―な…」
クナイが地面に突き刺さっているその中心。そこには息を荒くしながらも横島が無傷で立っていた。
「何をやったんだ!?」
避けた様子もない。だが横島の周囲をぐるりと囲むようにして突き刺さっているクナイが、彼がそれらを防いだという事実を露にしていた。
驚愕を誤魔化そうと平
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