暁 〜小説投稿サイト〜
同士との邂逅
二十 詐術
[3/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

今にも飛び掛からんとばかりにこちらをギラギラと睨みつける忍者達をちらりと見遣って、横島は内心溜息をつく。
子どもから自身に注意を向ける事は出来た。問題はこの後だ。
(このまま逃げられへんかな〜)
拳の中で淡く光る文珠をギュッと握る。そしてそれをそっと地面に置こうとして………。


ヒュンッ!


「うどわああぁあぁ!?」
咄嗟に頭を下げた横島の頭上を手裏剣が数枚通り過ぎる。ゾッと顔を青褪めた彼は身体を屈めた拍子に文珠を取り落とした。

「……動けるようになったな。チャクラ切れか?」
「さっさとソイツを殺してさっきのガキを追うぞ」
「げっ!!」

【縛】の効果は[点]となる対象物と【糸】と【専】が直線上にならなければ発動しない。取り落としたためにその直線上から外れてしまったのだ。
加えて先ほど横島が木から蹴り落とした九人目の忍者の姿が見えない。
(さっき飛んできた手裏剣か…っ)
思えば忍者が横島の蹴りだけで気絶するはずもない。大きなミスに痛根するが、【縛】の文珠で縛られていた八人の忍者達が一斉に襲い掛かってきたため悔やむ暇もない。


慌てて【専】の文珠を拾うと【糸】の文珠をそのままに、横島は脱兎の勢いで駆け出した。














(おいおいおいおいッ!忍者ってのは聴覚もいいんかいっ)

横島が使っているのは【隠】の文珠。文珠の【専】をすぐさま【隠】の字に変えたのだ。しかし背後に迫り来る忍者達は姿の見えぬ横島の後を確実に追い駆けて来る。
実は姿を消す事だけを念じたため、足音や匂いまで隠し切る事が出来なかったのだ。同じ【隠】の文珠を使ったシカマルは曲りなりにも忍びである。匂いはともかく足音を立てず隠密に動く事は慣れている。
しかし横島は違う。忍び同様葉音すら立てず動くなどという高等な所作、できるはずもない。よってガサガサと、何の配慮もなしに走る彼の逃走経路は忍者達には筒抜けであった。


混乱するあまり一か所にじっと隠れるという手段も思い付かぬまま、横島はただ足を動かす。
尤もその場に身を潜めたとしても、相手が忍犬類を口寄せ出来る場合を考えれば逃げたほうが得策だろう。
忍犬の存在など知らないけれど、迫り来る忍び達から少しでも離れようと彼は逃走する。

逃げ足には自信がある横島だが、そこは忍び。瞬く間に距離を縮めてくる。
いくら鍛錬したところで所詮四日。そんな短時間で木から木へ跳び移れるわけがない。けれどここまで横島が逃げおおせるのはやはり鍛錬したお蔭といえる。走る速度は以前より増しているし未だ息も切れていない。一般人なら今頃首を落とされている。
しかしながらやはり忍びの足にはまだまだ到底及ばなかった。加えて彼らは大蛇丸に木ノ葉の里の地形を頭に叩き
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ