二十 詐術
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に口角を上げた。
「ふっふっふ…動けまい」
にや〜とどちらが悪者かわからないくらいの悪人面で青年が笑う。何か眩い光が彼の拳から溢れ出ていた。
「なんだ!?この術は!?」
「この間抜け面、忍びなのか!?」
「誰が間抜け面じゃ――――――――!?」
青年をただの変な一般人だと見做していた忍者達が戸惑う。そんな彼らにツッコむ青年はどう見ても間抜け面にしか見えなかった。
呆然と直立不動の姿勢をとりながらも、シカマルの優秀な頭脳は目の前の光景に最善策を弾き出していく。
(…一般人と見せ掛けている忍びか。どこの忍びか知らねえけど、音忍ではなさそうだな。影を使った気配もないし、第一アレは奈良一族の秘伝術だ。【影真似】ではない。なにか相手の動きを止める術かなにかを使ったのか?……もし木ノ葉の援軍ならたった独りで真正面から来ない。ということは偶然この場に居合わせた忍びか。―――――とにかく、チャクラ切れの俺は足手纏い。味方なら援軍を呼んでくるのが最善だろうな)
ゆっくりとシカマルは後退る。それを眼の端に捉えた青年はこくりと頷いた。八人の忍者達はまだ動けない。
シカマルは最後に心中で(…………シカマルだっつ―の)と自分の名前を訂正すると、その場を後にした。
(ふ〜、ようやく行ったか)
なかなか動こうとしない子どもに焦り、文珠を三つも使ってしまった。
一つは先ほどまで横島自身が使っていた【隠】の文珠。そして【糸】と【専】の文珠だ。
横島の拳の中の文珠が【専】、【専】と対になるように忍者を挟み向こう側に落ちているのが【糸】。そしてポケットから転がり落とした文珠が【隠】の文珠である。
子どもの傍で発動させた【隠】の文珠は、敵には視えない結界のようなものを張っている。そのため子どもと対峙していた忍者達には子どもの姿が視えていない。そして【専】の文珠を持つ自身が地面に激突した痛みで転がりながら、先に転がり落ちた【糸】の直線上になるように移動する。
【専】という文珠はそれだけでは意味を成さない。しかしながらこの字は、【糸】とその間に対象物が直線状に並ぶ事で【縛】になる。【糸】と【専】には足りない部分をその場の八人の音忍達が補ってくれているのだ。自身の世界でも一度使った手である。
尤も一人なら確実に縛れるが多数だと効くか若干横島は不安だった。しかしながら黒髪の子ども――シカマルが今まで影真似の術を掛けていたおかげで忍者達は一固まりに集まっていた。そのため彼らが並んで腰を屈めたその瞬間を狙った。文珠は横島の思索通り一固まりに集まっていた八人の忍者を[点]と判断したらしい。
音忍という[点]が二つの文珠の間に入る事で初めて【縛】の機能が発現するのだ。
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