濁り銀
赤銀
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アメリスの部屋は壁から床から天井から紅一色で、ティーカップに注がれた紅茶もかなり紅い。
「さあ、どうぞ。」
「いただきます。」
シミのない白いティーカップの耳を傷一つない白い指が持ち上げ、シルバの口元に誘う。
「西部王国の貿易港、リボン港よりあげられた輸入物の茶葉です。」
リボン港と言われてもワタシにはわからないが、たぶんのの茶葉はいいものなのだろう。
ワタシは素直においしいというと彼女は笑ってくれた。
「ねえ、お姉さま。」
雑談の最中、唐突にアメリスが声をかけてきた。
「霧の森で出会った冒険者に何か感じたのでは?」
「あの者から何を感じろと。」
「わかります、お兄様方にはない魅力を感じたと。」
「あなた……。」
アメリスは読心術を心得ており、捕らえたものの尋問や現地での人的諜報を担当している。そのためこちらが言いたくないことも読心術を使って勝手に読んでくる。
「お兄様たちでは不満かしら、お姉さま?」
「そんなことはないわ。ただ……。」
「ただ?」
「なにかこう、ピンときた?というのかしら。」
「はぁ?」
「かわいい子?という感じかしら。」
「かわいい、ですか?」
アメリスは目を閉じて私の中に入ってきた。深層心理を読んでいるのだろう。
やがて、瞼が開き髪と同じ赤い目が現れる。
「お姉さま、ゴルデお兄様のことはよろしいので?お兄様を愛しているのではありませんの?」
「確かにお兄様のことは愛している。でも、お兄様を愛するのとは少し違うような気がして。」
ワタシはまだ‘この世界’に生まれて3年だ。‘天界’ではこのような感覚はなかったと思う。
尚もアメリスは神妙な顔を向けてくる。
「お姉さま、一度プラチナムお兄様とご相談なされてはいかがでしょう。」
「プラチナムお兄様と?」
「ええ、不安定な心のまま戦場に行かれては危険です。あの方に不安を取り除いていただきましょう。」
「その不安を煽ったのはあなただと知って言ってますか?」
「え?」
「あなたが余計なことをしてくれたおかげで暇をつぶすことができました。ありがとう。」
「ちょ、お姉さま?」
お茶を飲み干して席を立ち彼女の自室を後にする。足早に反転世界を歩き、件の人物に会いに行く。
プラチナムお兄様は自室には居なかったので教会内を探すと礼拝堂で祈りを上げていた。
失礼のと思いつつ声をかけ、手短に用件を告げる。
「ふむ……。で、私に何を求める。」
「この思いの制御法を教えてほしいのです。」
「制御法、抑えつけるか?」
「はい。」
「教えるまでもない。処置を施そう。あとで第一処置室に来なさい。」
「わかりました。」
夕食後、指示
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