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無明のささやき
第十九章
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出した。強烈な光が竹内の脂ぎった顔を浮かびあがらせた。竹内は拳銃を携えながら、ぼそっと言った。
「悪いな、飯島、こんなことになって。今の俺は金が全てだ。金のためなら何でもやる。」
飯島は憎憎しげに竹内を睨みつけた。そして言った。
「ふん、お前にぴったりの言葉じゃないか。そう、お前には金しかない。金でしか何物も得られない。そんなつまらん男だ。」
「俺を馬鹿にするのもいい加減にしろよ。泣きを見るのはお前なんだよ。それをこれから分からせてやる。」
「ああ、結構。分からせてくれ。もう覚悟は出来ている。」
そう言った直後、飯島の脳裏に、ふとある疑問が浮かんだ。それを聞いた。
「おい、竹内、一体全体、何故、南がお前等の協力者になったんだ?」
佐久間が怒鳴った。
「そんなことお前が知る必要はない。時間稼ぎしようとしても無駄だ。いえることは、こういうことだ。誰にでも魔が差す心の隙があるってことだ。」
どうやら、この疑問はあの世に行って南に聞くしかないようだ。飯島は冷静になるよう努めた。相手のペースに乗っていてはチャンスを作れない。それを崩すことだ。それには、例のものがぴったりだ。飯島は小声で佐久間に語りかけた。
「佐久間さん。電話で言った証拠がこの胸のポケットに入っている。さあ、これを受け取れ。」
佐久間の狂気に満ちた目が、一瞬正気に戻った。拳銃をむけたまま、飯島に近付き、革ジャンの内ポケットを探った。そして封筒を取り出した。
飯島は病院に精子を送って、診断書を郵送してもらった。人前で惨めな思いをしたくなかったからだ。だが、それがかえって良かった。そのぼろぼろの封書の中には八王子の総合病院、徳光病院の診断書が入っている。その信頼性は高い。
 佐久間が診断書に見入っている。頬がぴくぴくと小刻みに動きだした。次第に般若のような顔に変わっていった。佐久間は振りかえり、竹内に向かって叫んだ。
「いったい、これはどういうことだ。DNA鑑定では、愛子は飯島の子供だと判定された。しかし、この診断書は飯島を種無しと断定している。おい、竹内、これはどういう訳だ。」
一瞬、竹内の視線が揺れた。そして、さっと銃口を飯島から佐久間に変えた。そして怒鳴った。
「佐久間、動くな。左手の指先で拳銃をつまんで捨てろ。」
佐久間はお構いなしに拳銃を竹内に向けようとする。すかさず、竹内が叫んだ。
「真実が知りたくないのか、佐久間。言う通りにするんだ。そうすれば本当のことを教えてやる。」
佐久間は竹内を睨みつけながら、ゆっくりとした動作で拳銃を闇の中に放り投げた。竹内が笑いながら言った。
「おい、佐久間、ケツのポケットにしまった飯島の拳銃もよこすんだ。」
竹内は佐久間に近づき拳銃を抜き取った。竹内が顔を飯島に向け喋り始めた。
「佐久間は肝臓ガンで後半年も生きられない
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