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ヘンゼルとグレーテル
第一幕その二
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「何かいい踊りだね、僕寂しいのは嫌いだから」
「私もよ」
 それはグレーテルも同じです。二人はとっても寂しがり屋さんなのです。
「楽しいのが好き。いつも楽しくしていたいから」
「けれど二人ぼっちじゃ寂しいな」
「私じゃ嫌なの?」
「もっと大勢いないの?もっとさ」
「お父さんとお母さんが帰って来るわ」
「いや、もっとだよ」
 ヘンゼルは言います。
「大勢で騒ぎたいの?」
「そうさ、もっと大勢でさ」
「贅沢ね、兄さんは」
「だってさ、学校から帰っても何もすることはないんだから」
「宿題は?」
「そんなのとっくにやったよ」
 学校から帰ったらすぐに済ませるのです。これはグレーテルも同じだったりします。
「お家の掃除も終わったわよね」
「箒も作っただろ。何もすることないよ」
「だから踊っているけれど」
「御前と二人だけじゃ飽きるよ」
 少しずつそう思ってきているのです。
「そんなこと言わないで」
「踊れって言いたいのかい?」
「何もしないでつまみ食いするよりはいいでしょ」
「それはそうだけど」
 言われてふとミルクのことを思い出します。そして妹に顔を向けます。

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