暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
マザーズ・ロザリオ編
転章・約束
黎明
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
伸びた。時の厚生労働大臣直々の援助の申し出で、内容は医療費関係費の全額請け負い。

ただし、対価として当時試作機段階だった《医療用ナーヴギア・メディキュボイド》及び、今後の後続機のテスターを引き受ける事。木綿季は当時はまだ生きていた家族と相談し、その条件を飲んだ。
そして、メディキュボイドはデリケート故、通常の環境では運用が難しいため、木綿季は機械と一緒に無菌室に入った。

「つい1年ほど前までは体内の細菌による日和見感染やAIDSそのものを原因とする脳症が深刻でしたが、これも水城先生の処置のお陰で大事には至ってません」
「じゃあ……?」
「ええ私も、実を言うと諦めていたのかもしれません。メディキュボイドのテスターを引き受けさせ、他の治療の機会を狭めてしまったのですから……」

倉橋医師は穏和な目付きを少し険しく―――何かを畏怖するようなものに変えて呟いた。

「それをくつがえしたのが『神医』水城雪螺先生でした。……螢君が彼女の息子と知った時は流石に驚きましたよ」

その言葉を最後に場に沈黙が降りた。明日奈は視線の先にある2人の姿を見て、言葉を失っていた。そこに居るのはただ互いを想い合い、長い長い時間を掛けてようやく巡り会えた2人の姿。

何より、初めて見るかもしれない、螢の本当に幸せそうな笑みはつい明日奈までつられて微笑んでしまうほど綺麗なものだった。

と、その時

「邪魔するよ、倉橋先生」

入ってきたのは長身白衣の女性。化粧の類いは一切せずに、顔の不健康そうな隈を隠そうともしていない。

それでも明日奈はその人物から滲み出る独特のカリスマ性――――血盟騎士団団長ヒースクリフと同質のそれを感じ取っていた。

「やあ、不良息子。元気してるかい?」
「……あんたが今日来てるって聞く前まではすこぶる元気だったよ」
「ふむ。それは気の毒だね。まあいい、少し話して行くかい?隣の部屋にフルダイブ機が何台かあるが」

螢は雪螺の差し出したパスカードを受けとると、明日奈と連れ立って隣の部屋に移動した。






___________________________





Sideレイ


22層の自分のプレイヤーホームで目覚めた俺は起き上がると同時に飛び上がり、そのまま天窓(ALOにはリフォームオプションがある)から外へ出る。
アルヴヘイムの時刻はまだ朝のようだった。

そのまま空中で待機していると木々の合間からアスナが飛んできた。

「随分と早かったな」
「目が覚めたらすぐ飛び起きて窓から出てきたんだもん。まだ一歩も歩いてないよ」
「……そうかい」

何故かドヤ顔。突っ込みたいのを抑え、主街区の方に体の向きを変え、やや急いで飛んでいった。




[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ