暁 〜小説投稿サイト〜
王道を走れば:幻想にて
幕間+アリッサ:酔いどれの悪夢 その2
[7/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
のに無くしてしまっただなんて情けない事があってたまるか・・・。コーデリア様のバッジなんだぞ!大事じゃ無い訳がある筈・・・うぇぇっ・・・」
「あーあ・・・泣き上戸になっちゃって」

 アリッサが膝に頭を埋めて、ぐすぐすと声を震わせた。何故か水気を帯びている彼女の髪を見遣りながら、慧卓は面倒臭げに頬を掻く。本当に面倒ならば放置してさっさと寝てしまえばいいのだが、体育座りで落ち込む彼女が哀れに見えて、どうにも足が動かないのである。

「・・・どこで無くしたか覚えてます?俺が探しに行きますよ」
「どこって訳じゃ無いんだ。・・・でも、心当たりな人を探していたら、そいつが途中で消えて・・・」
「じゃあそいつを探しましょう。どんな格好をしてました?」
「えっとね、黒いマントの男だ。凄く怪しい男だ」
「オーケーです。じゃぁ、探してきますから、アリッサさんは中に入って、ゆっくり休んでいて下さい。俺が代わりに頑張ってきます」
「・・・うん、休む。・・・肩貸して」

 アリッサの腕を首に廻して、慧卓は宿屋の中へと彼女を連れていく。バッジの捜索をするという言質を取ったのか、途端に彼女の心に安堵が生まれて、それが眠気を触発しているようだ。階段に彼女の軍靴ががつりとぶつけそうになって、慧卓は誰も起こさぬよう気を引き締めて、千鳥足となっている女性を運んでいく。
 寝室に戻ると、慧卓は燭台に火を点けて明かりを取り、アリッサが寝易いように四苦八苦しながら手足のグリーブを外し、外套を取り、鎧を外す。かなりの重量であるため腰にぎくりとしたものを感じながら、慧卓はそれを邪魔にならぬ所へ持っていく。そして一杯の水を含ませて口の中を濯がせると、部屋の隅にあった桶を持ってきてそこへ吐かせる。こんなにへべれけとなっているのだ、本当ならば臭気を落とすために水でも浴びせたい所だが、逆に危なっかしくて見てられなくなる。宿屋の人には悪いが、今日の所はこのまま寝てもらう事にしよう。
 後は汗を拭いて掛布団の中に寝かせて終わりだ。慧卓はそこまでの世話をしておいて、ちらりと彼女の肢体を見て顔を赤らめる。鎧を脱がせたせいで彼女の赤らんだ肌や慎ましい女性的な起伏が見えてしまったのだ。鎧の下に着せられていた白の薄着は汗を吸っており、そのせいで肌や臍、更には色気の無い純白の下着までが透けて見えてしまう。騎士としての鍛錬を怠ってないために、腹筋が割れており、二の腕も中々に筋肉質だ。脚の方も、白磁といっても差支えないほどの美しく引き締まった脚が投げ出され、それが酒のせいで赤らむ様は、まるで深雪の内より可憐な赤い花が覗いでいるかのようだ。
 慧卓は一瞬心が揺らぎかけるが、頭を振り、心頭滅却の思いで彼女の肌に伝う汗を拭いていく。手拭越しの柔らかな肌がまた蠱惑的であったが、それに何とか耐えると、そそくさと彼
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ