暁 〜小説投稿サイト〜
王道を走れば:幻想にて
幕間+アリッサ:酔いどれの悪夢 その2
[2/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
た。しかし悪影響も御座います。私を初めとした一部の職人は主とする原材料の調達を狩人や冒険者らに頼っておりまして、此度の獣の減少に伴いまして生産できる商品も前年度の88%しか生産できない事が見込まれております。市場需要に生産を追いつかせる事が適わなくなったのであります」

 男は見せびらかすようにシャツの襟元の紐を一本一本解いていき、その度に胸を反らせて引き締まった筋肉を強調する。シャツを脱いだ男の両乳首には、洗濯用と思われるハサミがつけられており、更にそこには腰まで届くような長い紐が結んである。男が乳首を抓むように手を回して、円を描くように身体を動かすと、紐もぐるりと円を描き始め、観衆はこぞって笑い声を上げた。男は更にズボンを脱ごうとしながら至極冷静に、真摯に話を続ける。

「私共の質の良い衣服などを皆様に提供できなくなるのはとても悲しい事であります。この状況を打開するためには、私共は新たな原材料調達手段を確保せねばならないのです。だからこそお願いがございます。どうかギルドに所属しておらぬ私共、皮革職人に援助の手を差し伸べてはいただけないでしょうか。健全な契約関係を構築して、私は皆様と手を取ってゆきたいのです。生産態勢が立ち直った後には、成約金として売り上げの5%を、商人ギルドへと寄付させていただく所存であります。これにて私の発表を終えさせていただきます」

 ズボンが脱ぎ捨てられると観衆は手を叩いて爆笑した。男の純白の下着はもっこりと盛り上がり、その股間部には乳首と同様に洗濯ばさみが飾られ紐が結んであったのだ。身体を大きく回すと計三本の紐がぐるりと旋回して、男の無駄に逞しい裸体の前に円を描く。一部の観衆は気付いたであろう、股間部の紐の先端には、一枚の綺麗なバッジが結ばれている事に。それはほとんどへべれけに近くなっているアリッサであっても捉える事が出来たようで、彼女は大きく目を見開いていた。
 男が一物を際立たせるよう大きく腰を突き上げた。乳首の紐が鞭のようにしなって男の肩甲骨を、股間の紐についたバッジは男の胸部を叩いた。それがフィナーレを意味するのか、暗幕が徐々に閉まっていき、観客は万雷の拍手を彼に送った。どこまでも理路整然とした彼の論調に、大衆は心を大きく打たれたようであった。
 袖から司会の男が再び現れた。

『素晴らしい発表でしたね。皆様、拍手の方、有難うございます、有難うございます・・・しつけぇぞ、いい加減にしろ。・・・はい、どうも。では次の方を御紹介しましょう。東の小さな港町から一旗揚げて此方へと移住し、一躍一財産を獲得された皆様ご存知の刀鍛冶!東区にお住いのーーー』

 だんっ、と大扉が閉まる音が、男の台詞を中断させた。人々の目が一斉に扉を閉めたアリッサを見詰めた。司会の男は動じる事も無く言う。

『お嬢様、如何なさ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ