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王道を走れば:幻想にて
幕間+アリッサ:酔いどれの悪夢 その1
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。小豚を彷彿とさせる体躯の男が、顔面におできを幾つも作った男を徐々に圧倒し、最後には腹に一撃を加えた上にハンマーブロスを後頭部に叩き付けて、相手を打ちのめしたのである。思わぬ対戦結果に喝采が上がった。

『すげぇっ、やりやがった!』『動けるデブじゃねぇか、クソッタレ!かけ金返せよ!』『ぷっははっ!血泡がおできかかってやがらぁ、糞汚ぇ!』
「・・・おいおい。何やってんだよ」
「約束だ。10モルガン、出せ」

 勝ち誇ったような台詞を聞いて、男は歪んだ表情でアリッサを睨み付けた。

「くそ。卑怯だぞ。あんた分かっていやがったな?」
「約束は約束だ。出せ」
「ほらよっ!10モルガンだ!」

 心底気に入らぬ玩具を破壊するかのような乱暴さで、男は懐から銅貨を10枚、テーブルに叩き付けた。ばたばたと硬貨が暴れて、一枚が床へと落ちていく。男はそれを潰さんばかりに足で踏みつけて、苛立った足取りで店を出て行った。
 情けない背中を見てアリッサは鼻を鳴らし、少し穢れただけの銅貨を拾ってテーブルに乗せた。店の端では子豚な男がまだ勝利の祝福を受けており、膨れてしまった顔に照れ臭そうな笑みを浮かべていた。アリッサは気持ちよさげに安酒を一気に煽ると、アルコール臭のする息を吐きながら店主に言う。

「御馳走様。良いものが見れたし、そろそろお暇させてもらうよ」
「そうかい?あんたの気さえあれば、ここで少しは金を稼げるぜ。・・・見ろよ、後ろの連中を」
「見る気にもなれん。私は身体を売るような卑しい真似はしないからな。それよりも早く、勘定に入れ」
「あいよ。占めて30モルガンだよ」「なに?おい、目玉はついているのか?私は一杯しか飲んでないぞ?」
「さっき行っちまった男、1モルガンも払わずに消えやがったからな。あんた以外に請求先がいねぇんだよ。分かったならとっとと払え、女」
「・・・貴様、明日になってもそんな大言が吐けるかどうか愉しみだな。覚悟しておけよ」
「知らねぇよ、さっさと金出しな。それとも、無いっていうんじゃないだろうな?」

 救えない欲深な光を店主は目玉に浮かべた。アリッサは辟易とした溜息を吐く。どこに行っても所詮、下卑た連中はどこまで行っても下卑た根性を捨てられないのか。
 前方から、更には後方からも幾つか視線を感じる。アリッサはむかむかとした思いを浮かべて懐に手をやり、突然、身体の動きを硬直させた。訝しむような目つきが徐々に驚きと焦りのそれに変わって、何度も懐を探る。店主の鋭い視線を受けながら、彼女は半ば絶望したような声を出した。

「・・・・・・無い。無いぞ・・・」
「・・・おい、お前等!無銭飲食の女だ!!こいつをとっちめたら、何しようと構わねぇ!!てめぇらの好き放題に出来るぞ!!」

 銅鑼のように声が響き、喧騒が止
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