幕間+アリッサ:酔いどれの悪夢 その1
[3/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
げぇ張り方!イボイボまで再現出来てるじゃん!」
「うっわ。四十越えても漲るおっさんのアレにそっくりそのままだ。すげぇ、職人技だ・・・」
「見た事あんの?」「小さい頃に、親父のを」「なるほどなぁ」
「でな、面白い所がまだあるんだよ。この出っ張り、あるだろ?ここを下に下げると・・・」
男が張方の底部にあるスイッチのようなものをかちりと鳴らした。その瞬間、どのような奇怪な仕掛けによるものか、張方がぶぶぶと振動し始め、その丸みを帯びた尖端が芋虫のように頸を回し始める。夜闇に蠢く陰茎を模したそれは身の毛もよだつような気色悪い物体であり、男らはけらけらと笑った。
「うわぁ、なにこれ、気持ちわりぃっ」
「笑いながら言ってんじゃねぇよ!」
「お前等だって笑ってるじゃねぇか!どうすんだよ、これ!」
「元の鞘に収めさせろよ!どっかの鞘にぶちこめ!」
「分かった分かった。んじゃ、どうしようかなぁ・・・」
手の中で蠢くそれを遊びながら歩いていると、正面脇の路地の方から、一人の男が出てきた。全身を黒い外套で覆い、怪しげで且つ不敵な微笑みを浮かべている、妙に男勝りな顔付をした男だ。ミシェルらが不審な視線を送ると、男は目をくわっと見開いた。
「ハァァィっ!!」
男の両手が外套を広げる。その黒い布きれに隠されていたのは、純白の下着を着用しただけのだらしない男の裸体であった。もっこりと盛り上がった下着や無駄に引き締まった肉体も見事であるが、御丁寧な事にみすぼらしい体毛は全て剃っているようだ。露出狂の真摯なる発奮の憂き目に遭った男三人は、あまりの出来事に魂が抜けたような表情となっていた。
心を満足させたのか、男は裸体を隠し、紳士のように一礼する。
「失礼しました」
男は身を翻して路地裏へと消えて行く。茫然としていた男らは復活して、神妙な顔付で互いを見遣った。
「・・・あいつでいいか?」
「ああ。いいと思う」「・・・俺よりデカかった・・・」「やっちまうぜ」
意気投合した三人は真っ暗闇な路地へと駆け込んでいった。
『えっ、ちょ、あんたらっ!?』
『こんばんは』『死ね』
直後、えにも言われぬ菊が痛んでしまうような痛烈な悲鳴が、路地から通りの方へと流れて、空漠とした闇夜へ消えて行った。幸か不幸であるかそれに反応する人は誰もいなかった。松明の火が緩い夜風に揺れて、通りに落ちる照明の形を俄かに変えただけである。
悲鳴から数秒の後、かつかつという荒い足音が響いてきた。寝静まる人々を慮るものではなく、礼を逸したものである。通りの奥からやがて人影が現れ、松明の火に照らされて一人の女性の姿が顕となった。
「どこだっ、どこに行った・・・あいつは何処だ!?」
何故か水浸しとなった茶色の毛が顔に張り付き
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ