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DQ1長編小説―ハルカ・クロニクル
Chapter-5 第17話
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彼はマイラにいた女性、セアラの恋人だったのだ。
「やあ、君のおかげでセアラが無事だって…。本当にありがとう!今でも《キメラ便》で文通しているんだ。この世界の魔物が大人しくなったら帰ってくるって。ロトの勇者が竜王を倒してくれる日を楽しみにしてるよ。もしかして、それって……君のことかい?」
「ええ。竜王を倒す為、僕は旅をしているのです」
「そうか。竜王の爪はとても鋭くて何もかも切り裂き、竜王の吐く炎はいかなるものも焼き尽くすとかうろ覚えながら聞いたことある。ハルカ、それでも行くのか?」
名前は雑談で既に名乗っている。
「当たり前でしょう?」
ハルカはキッパリと即答した。顔は真剣そのもの。
「そうか。さすがロトの勇者、真の勇者だ!信じてるぞ」
兵士はポンとハルカの肩を叩く。と、「おっと、すいません」と何故か謝った。
「ロトの勇者様にこんなことは失礼だな」
「……いや、別の僕はかまいませんよ。それに、まだ、“証”を手に入れていない」
「“証”か……。まあ、ハルカなら手に入るさ。私の恋人を救ってくれたお前なら」
兵士は笑顔でハルカに向けて親指を上に向けて手を突き出した。
「頑張ってくれよ、ハルカ」
「……はい!」

高台から降りたハルカは空を見上げた。青くも濁った空。竜王軍が汚してしまった空。
(いつか僕が澄んだ青空に変えてみせる)
そう思い、ルーラを唱えた。
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