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DQ1長編小説―ハルカ・クロニクル
Chapter-4 第15話
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踏み入れた。
砂漠の気候は変わりやすく、ハルカは魔物と同じくらいに体調に気をつけながら進む。
砂漠に突入してから少しだけたった頃に、街が見えた。
……ドムドーラである。
ハルカの息が荒くなってきた。
(……息が、苦しい?)
しかしそれでも進み続ける。
魔物と戦いながら、ハルカの足はドムドーラに近づく。
(……行かなければ!)
体が重く感じても、決して逃げはしなかった。
ハルカはドムドーラを睨みつけながら歩いていく。
ドムドーラが段々近づいて来る。
(来る!……僕は……負けない!!)
重い体と気持ちを振り絞り、そして、ドムドーラへとたどり着いた。

「……」
ドムドーラは予想以上に荒れ果てていた。
ハルカは言葉を失う。
(ここで、僕は生まれたのか?)
血の匂いが微かに残っている、骨も残っている。
毒沼がぶくぶくと泡立っている。沼地の洞窟で見たのよりも、マイラでも見かけたのよりも、とても気味悪い毒沼であった。臭いもきつい。
ハルカは吐きそうになった。何とかこらえた。
今にも悲鳴が聞こえるようだ、竜王軍の魔物から逃げ惑う非力な人々の悲痛な叫び。
夢で見たような、悪夢のような光景であった。
「帰り……たい」
「帰れなくしてやるよ」
低い声が聞こえた。
「……!?」
ハルカは辺りを見回す、すると、上空にピンク色のキメラがいた。
「……お前は誰だ!」
「俺はスターキメラのルヴァシド。竜王軍の幹部だ!」
「竜王郡の幹部!」
ローラ姫をさらったドラゴン・セサヴァーと同じ幹部だ。
「セサヴァーがしくじったようだが、俺はそうはいかん。……お前はここで死ぬ。お前の家族と同じようにな」
「!!」
やはりハルカはここで生まれたのだ。そして、親はここで命を落としたのだ(正確には、母親はラダトームで力尽きたのだが)。
「貴様……」
ハルカはルヴァシドを今までにない鋭い眼光で睨みつける。……しかし、
「残念だったな、ハルカ。ここがお前の墓場となるのだ!!」
スターキメラの攻撃。ハルカの腕から、足から血が流れてきた。ダメージは大きい。
(痛い……っ!)
ハルカも負けじと剣を振り回そうとする。しかし、ルヴァシドは避ける。
「無駄だ」
ルヴァシドの翼がハルカの体を何度も撃つ。ハルカは反撃も出来ないまま、倒れこんでしまった。
「勇者も大したことないんだな」
ルヴァシドの勝ち誇ったような高笑いが聞こえてくる。
(くそっ…意識が……ダメだ……僕は……死にたくない……)
ハルカは重傷ともいえる傷を負っていた。
「さて。トドメだな」
(やばい……)
ハルカは残った力を振り絞り、ルーラを唱えた。
……ハルカの姿はドムドーラから消えた。
「……逃げたか」
ハルカはルーラを唱え終えると同時に意識を失った。

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