第九章 双月の舞踏会
第三話 一時の別れ
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ルイズたちが、士郎の背後に立って仁王立ちしていた。
士郎へのお仕置きを終えたルイズたちは、次にティファニアにエルフがここにいるのかの事情を問いただした。
立ち塞がるように目の前に立つルイズたちの後ろには、息をしているかどうかも分からない酷い状態の士郎が床にうつ伏せで倒れて煙を立てている。ルイズたちの士郎へのお仕置きの一部始終を見たいたティファニアの身体は、ガクガクと激しく震えていた。
助けてとティファニアの縋るような目がセイバーとロングビルに向けられるが、二人は生暖かい視線を向けるだけ。
助けを期待できないと理解したティファニアは、力なく項垂れるとガクリと肩を落とした。
元々士郎から促された時から話すつもりだったことから、観念したように溜め息を吐いたティファニアは、ぽつぽつと自分がこの村で暮らすことになる経緯について話し始めた。
母がエルフであり、自分はハーフエルフであること。
父はアルビオン王の弟のあること。
ある日アルビオン王に父がエルフである母を妾にしていることがバレ、騎士隊を差し向けられたこと。
何とか命からがら逃げ延びることは出来たが、父と母は騎士隊に殺されてしまったこと。
全てを話し終えた頃には、太陽が空の中央にくるお昼になっていた。
「―――と言うことです」
「はぁ……ロングビルの父親がこの辺りの太守で、テファの父親の部下だったって聞いた時からテファの父親がかなりの身分だと予想はしてたけど……まさか王弟だったなんて」
「ま、でもちょっと納得したわ。仕草の一つ一つにどうも気品を感じてたからね」
「うっうっ、酷いです。エルフだからって何も殺そうとするなんて……自分の弟の娘だというのに……」
ティファニアの話を聞いてルイズたちはそれぞれの感想をポツリと漏らした後に続く者は誰もおらず。
しんっと静まり返る居間。
そんな中、おずおずと最初に声を上げたのはティファニアだった。
「あの、その……それで……だから、わたしは」
自分でも何を言いたいのかはっきりしないのか、ティファニアは口を開けたり閉じたりを繰り返しながら同じような言葉を繰り返している。
「ああ、はいはい分かってるわよ。あなたがわたしたちに危害を加える気なんかこれっぽちもないってことぐらい」
「そうそう、そんなにオドオドしなくていいわよ。大体分かったから、っていうかもうそんなことある意味どうでも良くなったというか」
「そうですね。最初はエルフって聞いてとても怖かったですけど、今となってはそれはもう二の次になったというか……」
ティファニアに向かって手のひらをひらひらと振るルイズたちは、背後でつっぶしたまま動く気配の見えない士郎に視線を向けた。
次にまた
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