第九章 双月の舞踏会
第三話 一時の別れ
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らなくても……それに、シロウはそう言うけどわたしにそんな魅力なんて」
士郎の言葉を否定するように顔を振ったティファニアの顔が、段々と下がっていく。
が、士郎の一言がその動きをピタリと止めた。
「何を言ってるんだ? テファは十分以上に魅力的だぞ」
「え、でも、わたしハーフエルフで耳がこれだし、む、胸もへ、変だし」
士郎の言葉を受け顔を真っ赤にしたティファニアが、その耳まで赤くなった顔を隠すように頭に手を当て小さくなっていく。腰を曲げ膝を曲げ、どんどんと小さくなっていくティファニアに士郎は手を伸ばすと、真っ赤に染まった耳を優しく撫でた。
「ひゃんッ!!?」
士郎の指先が耳の付け根から先まで触れるか触れないかのギリギリのラインをなぞり上げると、ティファニアはバネ仕掛けの玩具のように飛び上がった。
背筋を電流が駆け巡ったかのような刺激と熱に顔をますます赤くしたティファニアが、触れられた耳を両手で押さえていると、風が触れるような優しく頭を撫でられる感触に顔を上げると、そこには苦笑を浮かべる士郎の顔があった。
「す、すまない。そんなに驚くとは思わず」
「え、あ、そ、その、だ、大丈夫です……ちょ、ちょっとびっくりしただけですから……」
士郎と目があったティファニアは、何故だが分からいがますます赤くなりこれ以上は湯気が出るんじゃないの? というほど赤くなった顔を逃げるように伏せると、ぼそぼそと小さく呟くように口を開いた。士郎に耳を触れられた瞬間に走った電流のような刺激が、未だ渦を巻いており身体の芯が断続的に熱を発している。初めて感じる感覚に戸惑いながらも、窺うように士郎を上目遣いで見上げたが視線が合うとまたも逃げるように顔を伏せた。
「あ〜……すまない。不快にさせてしまったか」
顔を伏せたまま全身を細かく震わせるティファニアの姿に、士郎は後悔を滲ませた声を上げながら頭に置いていた手を離そうとすると、
「あっ! ち、違いますっ! 不快じゃないですっ! それどころか反対に気持ちが良かったというか身体に衝撃が走ったというか! あ、ああ違います違います痛いとかじゃなくて、何と言うかこう、その、あのっ」
「あ、ああ分かった分かったから落ち着け。何言ってるのか分からないぞ」
離れようとする手を追いかけるように顔を上げたティファニアが、怒涛の勢いで士郎に詰め寄りだした。士郎はそんなティファニアの肩に両手を置いて落ち着かせようとする。興奮した犬か何かを落ち着かせるように、何度も頭を撫でている内にティファニアは落ち着きを取り戻していく。
何とか落ち着きを取り戻したティファニアが、深呼吸するようにその豊満すぎる胸に片手を当てゆっくりと息を吸って吐くを何度か繰り返すと、まだ赤みが残る顔で士郎を見上げた
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