彼の居場所
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ったけど……
認めたくないなぁ
渡君は出てきた時と同じように騒々しく教室から出て行き、その後面倒臭くなったのか水瀬君達は僕に何も言って来なくて、水瀬さんと仲良く話していた。
全く、今日は厄日だ。
その後、放課後まで僕は水瀬君と一言も話す事は無かった。だからどうしたって訳でもないけど。一つ、今日の教訓、面倒事というのは団体でやって来るのだ。
迷惑な事に。
「迎えに来たよ綾文ぃ!」
六時間目が終わった直後に渡君が現れた。もういいよ、君の出番は一日一回で十分なんだよ。だから引っ込めよ。
「今日こそ一緒にかえ…グボハァァアアアアアァァァァァァ」
大きく振りかぶって、渡君の鳩尾に渾身の右フックをぶち込む。ああ、やかましいなこいつ。少しして大人しくなった渡君の耳元で優しく囁く。
「渡君は部活があるでしょ、さっさと行って来たら、期待のエースなんでしょ?」
こうすると渡君は目を輝かせながら一瞬で消えてくれる。周りでクラスメイトがひそひそと話す声も気にしちゃいられない。
こっちだって必死なのだ。
「分かったよ、愛する綾文がそう言うなら、行って来る!」
激しく痛むであろうお腹を押さえもせずに凄まじい勢いで渡君はグラウンドへと向かった。さっさと行っちまえ、そして出来れば逝っちまえ。
そんな黒いことを考えているとまだクラスに残っていた依都子ちゃんが寄ってきた。
「ねぇふみ君、実は彼とデキてたりする?」
「え?」
一部始終を見ていた依都子ちゃんがとんでもない事を言い出した。それに対し、僕は大げさなくらい全身で否定のアピールをする。
そんな勘違い、あってはいけない。
「何言ってるの?あんなの付き合っているなんて、水瀬君と付き合う方がマシだよ」
ざわざわざわ!?(クラス中が僕を見る音)
ひそひそひそ!?(クラス中が囁きあう音)
???????(全身アピール男の反応)
えっと〜僕、何か変な事を言ったかな?ちゃんと渡君とは何にも無いって言ったよね?なのに目の前の依都子ちゃんは目を見開いて顔を真っ赤にしてる。なんで?
「ふみ君って……その……ホモ…………なの?」
その瞬間、思考が止まった。
「ほ?もけ?………」
「あの、ふみ君?大丈夫?」
あ、やべ、なんか電子世界の向こう側にDIVEしてた。いけない、いけない………………っじゃなくて!何で僕がホモなんだよっ!
「君はとてつもない勘違いをしている、僕は決してホモなんかじゃない!っていうか同性愛なんて認めない。僕はちゃんと女性が好きな普通の男だよ」
依都子ちゃんの肩を掴み、力説する僕。周りからひそひそと話す声が聞こえるけど、気にしちゃいられない。これだけは訂正しておかないと。
「でもさっき、渡君と付き合うより水瀬君と付き合う
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