第24話 住めば都も二つあると悩みの種
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まぁ、それ位のことは既に知っていたのだが。一応尋ねてみただけである。
「神楽ちゃんは、どっちが良いと思う?」
「何の事アルか?」
「なのはちゃんのことだよ。もしかしたら、なのはちゃんこっちの世界に残るかも知れないって言ってるんだよ。神楽ちゃんはそれでも良いの?」
「……」
新八の問いの神楽は答えなかった。だが、その顔色からして明らかに思いつめている顔であった。
「か、神楽ちゃん?」
「私だって分からないアルよ……本当だったら、絶対に何処へも行って欲しくないって言いたいアル。でも、そんな事をしたって、幸せなのは私だけアル。なのはは……なのははどっちが幸せなのかって考えると……どうにも言えないアルよ」
何時になくしんみりとした答えだった。もし、今までの神楽だったら回りが何と言おうが自分の欲望に忠実な発言をしたはずだ。
だが、その中には神楽だけじゃなく、なのはの意思も込められている。
大事な妹分であるなのはを悲しませたくは無い。その思いがある故に神楽も反論が出来なかったのだ。
「新八、私のやった事って、間違いだったアルかぁ?」
「僕にも分からないよ。僕だってなのはちゃんと別れるのは辛いと思ってる。でも、なのはちゃんが自分の生まれた世界で生きたいって言うんだったら、僕達はそれを邪魔する訳にはいかないじゃないか」
二人にとっても、既になのはは掛け替えのない存在となってしまっていた。
だが、出会いがあれば同じように別れがある。
この別れもまた運命として受け止めなければならないのだろうか。
「考えてみたら、僕達ってずっとなのはちゃんと一緒だったもんね」
「と、言うか、私達の思い出ってずっと銀ちゃんとなのはのワンセットの思い出しかなかったアルよ」
新八の初めての出会いはまだファミレスのバイトをしていた時のことだった。
禄に仕事が出来ず、店長や店に来ていた天人達に嫌がらせを受ける毎日。
そんな時に、姿を現したのが銀時となのはだったのだ。
あの出会いを切欠として、新八は万事屋で働く事となった。
神楽もまた、同じように出会い、そして共に江戸で暮らす家族となった。
その家族の一人と、今別れるかも知れないと言うのだ。
しかも、その決断に自分達は一切口出し出来ないのだから。
***
日は既に傾き、空には満天の星空と大きな月が顔を覗かせている。
なのはが高町家に寝泊りしてから既に二日経っていた。
約束の時間まで後半日だ。
だが、肝心の答えがまだなのはの中には出来て居ない。
「はぁ……」
此処の家の人達が用意してくれた部屋の中で、なのはは一人溜息をついていた。
聞いた話によれば、この部屋は以前長女の美由
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