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駄目親父としっかり娘の珍道中
第24話 住めば都も二つあると悩みの種
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紀が使っていた部屋であり、もしなのはが居たらそのままなのはの部屋になっていたと言うそうだ。
 その為、なのはが来る前は此処はあき部屋同然だったと聞いている。
 急遽用意された為か姉の生活の名残が所々に残っている。
 背比べの跡、時代遅れのタレントのポスター、とかとか。
 それらもまた今まで自分が居た江戸の町とは何処か違っていた。
 
「この二日間。とっても楽しかったな……」

 ふと、なのはは此処で生活していた二日間を思い出していた。高町家の人達と一緒に食べた食事の味。
 知り合いになれたアリサやすずかとの楽しい会話。
 ほかにも士郎がコーチしているサッカーチームの練習試合に乱入してチームメイトの度肝を抜いたり、恭也とすずかの姉である忍の大人な場面を覗いてしまったりもした。
 とにかく、この二日間はとても充実した日々であった。
 だが、少し物足りない感じがした。
 江戸の世界とは違い毎日が安定した暮らしを送る事が出来る。誰も飢える事がない。平和な日々。
 一方、江戸の町では満足に生活できない人も居る。町を歩いていたら攘夷志士に突然切られてしまうような恐ろしい事もあるし、エイリアンに襲われる危険性もある。
 だが、同時にそれがなのはの冒険心や好奇心を掻き立てる要因にもなっていた。
 危険の中にある冒険。それが江戸の世界で味わえる最も楽しく、そして甘美な味であった。
 その味が、この世界にはないのだ。
 それが少し退屈ではあった。だが、だからと言ってこの世界が嫌いだと言うのではない。
 何処かこの世界は自分と良く似ているのだ。そして、同時に自分が江戸の世界で何処か浮いた存在だと言う事実に気付きだしていた。
 
「明日はいよいよ答えを出す日……なんだけどなぁ」

 ベットに転がり、そのまま体を伸ばす。実際の所を言うと答えなど全然決まっていない。寧ろ白紙も同然だった。
 そんな状態で明日答えを言えと言うのだから無茶も良い所だ。
 だが、決めなければならない。少なくとも銀時達は後数日後には江戸に帰ってしまう。
 もしそうなった場合、恐らく江戸に戻れる可能性はなくなってしまうだろう。
 しかし、このまま自分は江戸の町に残って良いのだろうか?
 自分が生まれたのはこの世界だ。江戸の世界は自分にとっては全く異なる異世界だと言える。そんな異世界に何時までも長居してて、回りは迷惑じゃなかっただろうか?
 そんな心配をすると、自分の答えがどんどん遠のいていく気がした。
 決められない。決める事が出来ない。
 そのもどかしさがなのはの心をきつく締め付けていた。
 風の音と共に、窓を叩く音がした。
 不自然な音だった。
 風が当たったにしては音の響きが規則的に聞こえていたのだ。
 
「何だろう? 鳥でもぶつかった
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