第十話 〜捜索〜
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がふざけた事をぬかす様なら直様斬り捨てればよい話だ"
"父上がそう言うのでしたら…"
そして私達はその使者に会う事になるのだが…。
"旧陵陽関関主馬索より対蕃族防衛の任を引き継ぎました豪統にございます"
その使者は護衛ただ一人を従え、敵陣真っ只中で自分が敵国の前線拠点の大将だと名乗った。
それが彼ら豪統殿と凱雲だった。
当然私達は皆騒然とした。
"…ふむ。して、豪統殿。其方は何をしに参られた?まさかそれだけを伝えにわざわざ敵陣真っ只中に来たわけではあるまい"
"えぇ"
皆が固唾を飲む。
いったい彼らはこんな危険を犯してまで何を交渉しに来たのか。
"では、要件を聞こうか"
"単刀直入に言います。我々と同盟を組んでくださらぬか?"
"なに?"
それは誰もが予想だにしない事だった。
"ご、豪統様ッ…!。確か今回の使者は停戦の筈では…"
そしてそれは護衛に着いて来た凱雲すらも予想外だったようだ。
"お互い長い戦の中で勝敗はつかず、兵は疲弊し、国は安定せず、今や我らの陵陽関と貴方方のここニ城との間で悪戯に少数の兵をぶつけ合っているのが現状であります。そこで、今一度は積年の恨みを忘れ、互いに民の生活に目を向ける機会を作るのは如何でしょうか"
豪統殿の言い分は"このまま泥沼化した戦を続けても民の生活が良くなる訳では無いから戦を互いに止め、内政をしよう"との事だった。
確かにこれは我々にとっても都合がいい事だ。
昔からこの国では北への牽制用の軍事費に半ば習わしの様な感覚で国庫を割いて来たのが歴史の中である。
だが、北国が小国の集まりから戦国六雄の傍、烈に纏まってからは北からの圧力が増し、此方は本格的に軍事力を持たねばならなくなる。
更にその烈すらも呑み込み広大な領土を有した零と隣接してからは尚更だった。
しかもその頃の北国零は更に膨張を続け、いつの間にか北の国々を統一してしまっていた。
その間にも我々は牽制や防衛の軍事費に国庫を蝕まれ続け、零には遠く及ばないにしてもそれなりの領土を有していた筈の我が国は栄えるどころか、発展は遅れ、内需は安定せず、挙句に敵国の商人達との交易によってなんとか国を保っている有様だ。
そして、その商人との交易によって国の情報が漏れてしまっているようだ。
…だが、我々には商人達を規制する事はできない。
そんな状況下では豪統殿の話しは渡りに船だった。
…だが。
"豪統殿、貴方の言い分はわかりました。確かに、我々はその領土には見合わない程の軍事費に頭を抱えております"
"そのようで"
"しかし、それでもこの話しはお受けできませんな"
"…何故です?"
そうだとも。
我々は誇り高き民族、蕃族なのだ。
北国では
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