第17話 綺麗な思い出でも他人が持ってると意外とジェラシー
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「フェイト……貴方は自分が何を言っているか分かっているの?」
女性の言動は相変わらず冷たかった。放たれる言葉の一言一言がフェイトの心に突き刺さり、凍てつかせて行く。
辛く、痛く、苦しい言動が女性からはひっきりなしに放たれた。その言動に対し、フェイトは何一つ言い返す事が出来なかった。
まるで、蛇に睨まれた蛙の如く、成すがまま、言われるがままであった。
「分かっています。自分が何を言っているのかと言う事を……でも、でも私は、この子を……なのはを助けたいんです!」
「それがどれだけ無駄な時間を費やす事になるか、貴方分かってるの?」
その女性に人一人の価値など無価値に等しかった。目の前で死に掛けている子供が居たとしても眉一つ動かさない。氷の様な冷たい表情が彼女の心情をそのまま表していた。
「仮にその子を助けたとして、その子が貴方に何をしてくれるの? 辺境の星でたまたま出くわした子供如き助けたところで、私達には何も返って来ないわ。只無駄な時間を費やしただけになる。貴方、その費やした時間を母さんに返してくれるの?」
「母さん、でも私は――」
「取り出しなさい」
「え?」
無慈悲にその言葉は放たれた。フェイトの願い、フェイトの言葉、フェイトの意志など、それらを全て無視した上で、女性は言い放ったのだ。
「今すぐ、その子に寄生しているジュエルシードを取り出しなさい。今なら起動する前に摘出出来る筈よ」
「駄目……なんです。もうジュエルシードはこの子の体内にくまなく根を張ってしまって……無理やり取り出そうとしたら、なのはは死んじゃうかも知れないんです!」
「だからどうしたと言うの? たかが子供の一人や二人死んだ所で、私は痛くも痒くもないわ」
女性にとって子供一人の命よりも今こうしている時間の方が惜しかった。今、女性にとっては一分一秒でも惜しい状況なのだ。故にこうして話している時間すら女性には惜しく思えた。
「分かったのなら今すぐ取り出しなさい。貴方なら出来る筈よ。この大魔導師プレシア・テスタロッサの娘である貴方なら」
「でき……ません……」
「なんですって?」
「出来ません! そんな事をしたら、本当になのはが死んじゃったら……そんなの、私は嫌なんです! だから、お願い母さん。この子を、なのはを助けて下さい!」
その場にフェイトは跪き、プレシアに哀願した。大粒の涙を流し、必死にプレシアに願い出る。だが、娘の涙を前にしても、プレシアの表情は崩れることはなかった。
嫌、寧ろ先ほどのそれに増し、今度は激情の意志が加わりだした。
「フェイト、貴方には失望したわ……私は貴方に言った筈よ。全てのジュエルシードを回収して来なさいと。なのに、貴方はその地でこの子と遊び呆けていたと言うのね? しかも
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