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駄目親父としっかり娘の珍道中
第17話 綺麗な思い出でも他人が持ってると意外とジェラシー
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他の誰かが使用する為か?
 その真偽が、此処で明らかになるのはおよそ確実とも言えた。

「それじゃ、行って来るね」
「あぁ、気をつけてね」

 アルフをその場に一人残し、フェイトは扉を押し開け、中に入っていく。フェイトが中へと入ったのを見てかどうかか、扉はゆっくりと閉まった。
 木目調らしく接続面が擦れる歪な音を立てながら、最後には完全に扉は閉められ、フェイトとアルフは扉を跨いで分断されてしまった。

「……」

 何時に無くフェイトは固い表情を浮かべていた。固唾を呑み、冷や汗を流しながらも、一歩一歩前へと進んでいく。
 入った部屋もこれまた豪勢な作りであった。一面大理石とも思える壁で象り、その周囲を照らすように蝋燭が灯されている。
 しかし、その明かりも掠めるかの様に天井から眩い光が降り注がれている。
 部屋の広さはそれなりにあり、恐らく20畳は軽くあると推測出来た。
 その部屋の最奥に位置する場所。取り付けられた豪勢な椅子。王が座るべき場所。玉座に一人の女性が座っていた。
 紫の長い髪をし、その髪と同じ口紅を使用し、はだけた胸が特徴的とも言える黒いドレスを纏った女性が其処に居た。
 その女性の目元には疲れを表せるかの様に隈や皺が寄っており、その女性の顔色もまた、健康的な女性とは程遠い状態であった。

「た、ただいま……母さん」
「挨拶は良いわ。それよりも……」

 親子の再会を女性は一蹴する。その言葉を放ちつつ、女性は玉座から腰を上げて、数歩フェイトの前に歩み寄る。大人の女性なだけあり背の高さはフェイトの倍はある。その背丈でフェイトをじっと見下ろしていた。
 その視線は何時に無く、いや、先ほど以上に不機嫌な物となっていた。

「その子は……一体誰?」
「あの、この子は……その――」

 フェイトは答えに渋った。まるで、実の親に叱られ、必死に言い訳を考えている子供の様に、フェイトは視線を泳がせながら答えられずに居た。その態度がまた、女性には癪に障った。

「はっきり答えなさい! 貴方が連れて来たのだから何かしら理由があるのでしょう?」
「はい、母さん……実は、この子の中に、ジュエルシードが寄生しているんです」
「……それで?」
「え?」

 思いがけない返答にフェイトは驚いた。一瞬にして先ほどまで考えていた返答の内容が綺麗さっぱり消え去っていくのを感じた。一面真っ白な闇と化した脳内では、とてもこの女性の問いに答える事は出来ない。
 そんなフェイトの事などお構いなしにとばかりに、女性は質問を続けた。

「それがどうしたと聞いているのよ。寄生したから何? それならば取り出せば良い事じゃないの。何故そんな事をせずわざわざ此処に連れてきたの?」
「その……この子を……助けたいんです」

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