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ストライクウィッチーズ1995〜時を越えた出会い〜
第十三話 芋の皮むき
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 荒々しい足音が医務室の前で止まり、ややあってから乱暴にドアが開けられた。

「……ご無事で何よりです、バルクホルン大尉」
「あ、ああ……どうやら、助けられてしまったようだな、少尉」

 思えば、きちんと忠告を聞いていればこんなことにはならなかったのだ。その自覚がるだけに、バルクホルンは和音の顔をまともに見る事ができなかった。しかし、そんな事情に構うことなく、固い表情のまま和音はツカツカとベッドの脇まで歩み寄り――


 ――パシィン!!


「――ッ痛!!」

 容赦なくバルクホルンの頬をひっぱたいた。
 唖然とする一同に構うことなく、何事かを言いかけたバルクホルンの頬をもう一度張り飛ばす。

「なにをしてるんですか!! バルクホルン大尉!!」
「………………」
「もう少しで……もう少しで死んじゃうところだったんですよ!? わかってるんですか!!」

 普段の様子からは信じられないほどの剣幕に、さすがのミーナや坂本も割り込む隙を見つけられない。当の本人であるバルクホルンでさえ、幼子のように項垂れる事しかできないでいた。

「シャーリーさんがすぐに駆けつけてくれたからよかったものの、あんなにボロボロになるまで戦って……」
「すまない……少尉の忠告を聞くべきだったな……わたしの判断ミスだ」
「そんな事を言ってるんじゃありません!!」

 バンッ!! とサイドテーブルを叩いて和音は言う。

「どうして自分を大事にしないんですか!? ミーナ隊長やハルトマン中尉だって、大尉の大切な仲間であり家族でしょう!? ユニットなんかいくらでも替えは利きます。でも大尉の代わりはいないんですよ!?」

 その言葉に、バルクホルンはハッとして顔を上げ、ミーナたちの方を仰ぎ見た。

「沖田さんの言う通りよ、トゥルーデ。ユニットよりも貴女の方がずっと大事。私たちは家族でしょう?」
「ミーナの言うとおりだよ。トゥルーデが傷つくところを見たい人間なんていやしないよ」
「そうか……そうだな、私たちは家族だったものな」

 深い安堵の息をつくバルクホルン。今の彼女には何より休息が必要だ。
 坂本が目くばせすると、無言のまま軽くうなずいてみな部屋を出ていく。
 ベッドに横たわる彼女の口から安らかな寝息が聞こえてきたのは、そのすぐ後の事だった。






 ――ロマーニャ基地 食堂

「本ッッ当に大尉は不器用ですね。いいですか、ここをこうして……ほらできた」
「な、なるほど……くっ、意外と難しいものだな」

 隊規違反の罰則として掃除や炊事を言いつけられることは珍しくないが、今回ばかりはどうもそうではないらしい。夕食時の食堂には、それはそれは珍妙な光景が広がっていた。
 食堂には山盛りの
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